tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」の字を常用漢字に

先に、佐藤久夫先生にヒントを頂戴し、「障害」「障害者」表記の「障碍」「障碍者」への正常化に関し、「一概念一表記」という小論を書きましたが、これを基に、啓発用として、より平易に書き改め、COMHBO社の丹羽大輔氏に編集をお願いし、《「碍」の字を常用漢字に》と題した小冊子を第一刷として12,000部作成し関係先に配布しました。

それと同一内容を以下に掲載しました。ご笑覧いただければ幸甚です。

           2018年11月8日        豊田 德治郎

 

〇佐藤久夫先生:日本社会事業大学名誉教授

        元内閣府障がい者制度改革推進会議主要委員

 

「碍の字を常用漢字に」

「障碍」「障碍者」表記研究家

 豊田德治郎

 

 

<第一章 「害」の字使用の歴史>

 

はじめに

皆さんは、「障がい」という表記をご覧になったことがあることと思います。これは、「障害」という表記に「害」の字が含まれていることから、やむなくそのような表記がされるようになったものです。

「障害」という「害」の字が含まれている表記が不都合であることは、今や関係者の間では共通の認識となっていますが、このことは、すでに一六の道府県と七つの政令指定都市を含む全国の多数の自治体が代替表記として、個々独自の判断で平仮名交ぜ書き表記である「障がい」「障がい者」を公式に採用していることでも明白です。

文部科学省は以前から、漢字とひらがなの交ぜ書き表記は読み取りにくかったり、意味を把握しにくくさせたりすることがあり、好ましくないとしています(第二十期国語審議会「新しい時代に応じた国語施策について」を参照)。「好ましくない」とされつつも、「障害」の本来の表記である「障碍」の「碍」の字が常用漢字ではないため、苦肉の策としての「障がい」「障がい者」は黙認されている状態です。

筆者は、特に「障害」を人に対して使用した「障害者」という表記は誤表記であり、差別表記でさえあるとする立場です。この冊子では、「障礙※」「障碍」「障害」のそれぞれの字義(漢字の意味)を確認したうえで、なぜ「障害」ではなく「障碍」であるべきなのか、という筆者の考えを述べていきたいと思います。

※「碍」は「礙」の略字

 

「一概念一表記」が基本原則

「一概念一表記」は我が国の国語政策の基本原則の一つといわれています。この基本原則の観点から、現在、主に使用されている「しょうがいしゃ」の三表記、「障害者」「障がい者」「障碍者」のどれがこの概念を代表する表記にふさわしいかを考えてみましょう。

まず、漢字とひらがなの交ぜ書き(以下=「交ぜ書き」とのみ表記)の「障がい者」ですが、国は「交ぜ書きは、戦後定められた当用漢字表の表外字を含む漠語を書き表す一つの便法として行われてきたもので、語の意味を把握しにくくさせることがあり、見直されるべきである」としています。

そして、新方針として情報機器が発達したことで「交ぜ書き」をなくす方向に誘導していますので、代表表記候補からは外さざるを得ません。従って、対比の対象は「障害者」と「障碍者」の二つになります。

 

「障害者」という表記の出現

「障害者」という言葉は戦後出現したものです。それまでは、主に不具合の部位を指す言葉が使用されていました。おそらく戦後の占領政策の一環としての福祉行政を進めるにあたり、その対象者の新しい総称として「障害者」という表記が生まれたものと推定されます(戦前も総称はありましたが差別用語とされています)。

さて、問題になっている「害」の字について、戦後五年目の一九四九(昭和二四)年に成立した「身体障害者福祉法」は「害」を使用して「障害者」と表記されました。

 

「害」と「碍」では意味が全く違う

「妨げる」「バリアー」を意味する「しょうがい」の表記は、終戦までは「障碍」と「障害」の二つが併用されていたのですが、敗戦直後の一九四六(昭和二一)年に占領軍の指導で制定された「当用漢字」は、漢字の使用制限が目的だったため「碍」の字が当用漢字表から除外され表外字となってしまいました。そのような中で、従来の「碍」の字は「ガイ」という発音が同じというだけで、語源も字義(漢字の意味)も異なる「害」で代替しようということになったわけです。

字義は「害」が「害する」、「碍」は「妨げる」です。その語源ですが、「碍」が「岩が旅人の行く手を妨げる」というものであり、「害」は「ひとを殺(あや)める」(白川静編「字統」より)です。

 

「害」と「碍」—戦前の使い分け

終戦までは「障碍」と「障害」が併用されたと述べましたが、「害」を使用した「障害」はモノや事象に対してのみ使用され、寵接ヒトに対して使用された例は見つかっておりません。たとえば、戦前の一九三二(昭和七)年に制定された「救護法」には「精神的又は身体的障碍のある者」との記述があり、「障碍」が使用されており、「障害」は使われておりません。ちなみにこの「精神的又は身体的障碍のある者」の記述に戦後に出現、した「身体障害者」という表記の原型を見ることができます。

 

「害」がヒトに対して使われた初めての事例

読者の皆さんはもうお気づきだと思いますが、戦後五年目の一九四九(昭和二四)年に「身体障害者福祉法」を制定するにあたり、関係者、特に内閣法制局の担当参事官は「しょうがいしゃ」の表記をどうするかで悩んだに相違ありません。目の前の、十数年前に制定された「救護法」に「精神的又は身体的障碍のある者」とヒトに対しては石偏の「碍」が使用されている表記の前例があったからです。この法令が国のために尽くした傷痍軍人(戦傷を負った軍人)をも対象にしているだけになおさらのことです。

しかしながら、当時は戦後の非常に混乱した時期でもあり、直前の一九四六(昭和二一) 年に制定された当用漢字への「碍」の字の追加をGHQ連合国軍最高司令官総司令部…戦後、日本の占領政策を実施した機関)に申し出る状況にはなかったのでしょう。

江戸末期に日本で「障害」という表記が誕生して以降、結局は「身体障害者福祉法」が、初めて「害」がヒトに対して使用された典型的な事例となってしまったと考えます。

以降、一九九〇年代末に東京都多摩市が「障害」「障害者」の表記に疑問を呈するまでの半世紀の間、漢字使用国出身の在日外国人の間で話題となることはあっても、障碍のある人を含め、日本国民の関心事ではありませんでした。学校で学ぶ表記は「障害」のみで、「碍」の字の意味どころか発音さえも学ぶ機会はなく、「身体障害者福祉法」が「しょうがいしゃ」表記の偉大な模範例として存在感を示していたのです。

 

「障害」表記の出現

日本で「害」を使用した「障害」という表記が出現したのは江戸末期といわれます。一八六二(文久二)年に出版された英和辞書で Annoy Annoyanceの和訳として「障害」が出ています。ちなみに同辞書のRubの和訳は旧来の石偏の「碍」で「障碍」となっています。和訳文は全て手書きです。

近代になって突然現れた「障」と「害」を組み合わせた和製漢語「障害」は古来、「妨げる」「バリアー」の意味で使用されてきた「障碍」と同じ意味で使用され、今日に至っています。

明治新政府は好んでこの新造語「障害」を使用した形跡があります。明治期に入り政府の許可を得て出版された法令用語辞典「布令字弁」には「障害」が「セウガイ」「シャウカイ」の2か所に記載されているのに石偏の「障碍」はどこにも載っていません。ひょっとして新政府に何らかの意図があって「障碍」の代替語として「障害」を使用したのではないかとも憶測できます。

 

なぜ「障害」という表記が出現したのか?

そもそも、何の必要があって古来からある「障碍」に完全に重複する形で、新たに「障害」という表記が出現したのかは大きな疑問です。漢字は、アルファベットなどとは異なり、文字に意味がある表意文字です。したがって、新造語が生まれるにはそれなりの必然性があってしかるべきだと考えます。「碍」を「害」に置き換えて何を求めようとしたのでしょうか。「一概念一表記」の観点からも違和感があります。

「碍」の字は日本では誠に不運な漢字で、戦後の漢字制限策を経て「身体障害者福祉法」表記が誕生し、戦後の「しょうがいしゃ」表記がウ冠の「障害者」で確立されたことになります。

 

 

<第二章「碍」という表記の歴史>

 

「障碍」は六世紀には伝来か

次に「碍」を使用した「障碍」の表記に移ります。

ウ冠の「障害」と「者」を組み合わせた「障害者」という表記は戦後の生まれで使用期間も戦後から現在までのわずか数十年と極めて短く、石偏の「障碍者」(あるいは「障碍のある人(者)」)を論じるには、派生元の「障碍」に立ち戻って考える必要があります。

「障碍」という言葉が仏教語であることに異論はないようです。仏教伝来は「仏は五五二(午後に)百済から」(つまり西暦五五二年の伝来)と習いましたが、現在では五三八年が有力とされているようです。いずれにせよ、六世紀には経典という形で日本に渡来していることになります。

 

「障碍」の読み方

「障碍」は、当初は「しょうげ」と発音され、途中から「しょうがい」とも発音されるようになりました。明治期以降は「しょうがい」という発音が主となり、昭和期以降はほとんどが「がい」と発音され、例外的に「融通無碍(ゆうずうむげ)」が現在も残っています。

漢字の発音には主に「呉音」「漢音」の二種がありますが、「しょうげ」は古い方の「呉音」で、八世紀に入り「漢音」の渡来で「しょうがい」とも読まれるようになったようです。「漢音」がより体系的なことから、「呉音」を蔑視する人があるようですが、現在も多数の「呉音」が使用されており、例えば数字のイチ、ニ、サンは呉音とのことです。

 

近年の動向

二〇世紀末になり東京都多摩市が、市の内部で「障害」「障害者」という表記を疑問視し、「障碍」「障碍者」への正常化を検討した結果、「碍」の字の常用漢字への追加が必要ということで、次善の策として交ぜ書きの「障がい」「障がい者」を公式に採用して今日に至っております。

本件が国会で採り上げられたのは二一世紀に入ってからで、二〇〇七(平成一九)年に川内博史代議士が質問主意書の形で「障碍」表記の正当性を主張しました。安倍首相(当時)の回答は《「碍」の常用漢字への追加が先》でした。以降、質問主意書が一通、文部科学委員会での質疑で二回、全てが「障害」「障害者」表記の「障碍」「障碍者」への正常化と「碍」の字の常用漢字への追加を要請したものでした。

地方議会、たとえば兵庫県議会での質疑でも、県側の回答者を含め「障碍」表記の正当性を認める発言が全てで「障害」「障害者」表記を良しとする意見や、「障碍」表記を不都合とする発言は皆無でした。

 

「障碍」という表記は一〇〇〇年以上の歴史

漢字は中国で紀元前一五世紀に作られたといわれています。「障碍」という熟語がいつ頃できたのかは不明ですが、「障」と「碍」のそれぞれの字義から「隔て妨げる」「バリアー」の概念の代表的表記として使用され今日に至っていると推定されます。漢字を輸入した諸国でも同様でしょう。日本以外ではということですが。

「障碍」は、日本では六世紀に仏教語として輸入されて以降一七世紀まで、一〇〇〇年以上も「隔て妨げる」「バリアー」という概念を代表する言葉でした。それが一八世紀に入り、日本では突然変異的に「障害」という表記が出現し「障碍」と同様の字義を持つようになりました。

両者は発音が同じ「ショウガイ」であり、その理由はともかく、「碍」が同音の「害」で置換されたのではないか、との疑いが生じるのは当然です。これは、戦後の漢字制限策の中で当用漢字表から漏れた「碍」の字が同音という理由だけで字義を異にする「害」で置換されたことからも容易に想像されます。

 

<第三章 なぜ「碍」が「害」になったのか?>

 

「害」に置き換えた謎

問題はなぜ近代になって「碍」の代替語として「害」が選ばれたのかです。「害」で構成される熟語は「無害」を除いてはほとんどがネガティブなもので、「害」の字の語源に至っては前述のように「人を殺(あや)める」とされています。「碍」を「害」で置換することで何かメリットがあるのか、「障碍」の概念をどのように変えようとしたのか、全く見当がつきません。

 

筆者の推理

なぜ「碍」を「害」に置き換えて「障害」としたのか—これは筆者の「仮説」というよりは「思い付き」の段階なのですが、神道を重視した明治維新政府には、政治的に、政策的に、仏教語を排除したいという動機があったのではないかと考えました。

調べてみますと、一八六八(慶応四・明治元)年に「神仏分離令」が発布されていて、これが向後の廃仏毀釈運動につながっています。

当時は未だ「碍」の字の本字である「礙(がい)」が多用(「碍」は「礙」の略字)されていましたので「障礙」を代表的な仏教語の一つとして排斥しようとし、誰かが「障礙」の代替用語を考えたが適当な漢字が見当たらず、拙速を承知で字義は違うが「ガイ」と発音する「害」をエイヤッと当て字として起用したとすれば一応説明はつきます。

なぜ、法令用語辞典「布令字弁」に「障害」のみが二か所に記載されて、「障礙(「障碍)」が脱落しているかも、辞書が官の承認を得る必要があったことから、政府関係者からの働きかけがあったと仮定すれば、これも説明できます。

 

医学用語ではない

「障害」表記が突然現れた理由として、筆者は、当初、医学用語として身体の「害」を除去するのが医学の役目という発想で、仏教語である「障碍」との差別化を図るために、「障害」という医学用語が作られたのではないかと考えました。

そこで、幕末の事情にくわしい、緒方洪庵研究家の中田雅博氏(元産経新聞記者・幕末の医学事情にくわしい)に調べてもらったのですが、洪庵が翻訳した外来語には全て、「障碍」が使用されており、周辺でも「障害」表記は見当たらないとのことでした。

やはり、明治新政府の法令に含まれうる漢語を集めた「布令字弁」に「障礙(障碍)」が不掲載ということの意味は大きいと思われます。実際に明治政府のお布令で「障害」のみが使用されたかどうかは確認が必要ですが、とにかく「布令字弁」はよく売れて、今でいうベストセラーだったようです。

 

漢字文化圏ではどうなのか

一九世紀末から二〇世紀の半ばにかけて日本は台湾を五〇年間、大韓帝国を三六年間統治しました。この間、両国は日本から多くの文物と共に「障害」表記を受け入れたことは容易に想像できますが「障害」表記が定浩することはありませんでした。やはり漢字にプライドを持つ両国は伝統的な「障碍」表記が正しい意味を表している、ということで「障害」を追加する必要性を感じなかったのでしょう。

ちなみに、中国は和製漢語の「公害」を受け入れて公式に使用しています。日本も法令などの公式表記として中国から「无障碍=無障碍」を輸入し「バリアフリー」(写真)を置換してはいかがでしょうか。

 

「障害」という表記使用は国際問題でもある

いずれにしても、終戦まではウ冠の「障害」がヒトに対して使用されることはなかったので国内問題として処理できたのでしょうが、戦後生まれの「しょうがいしゃ」に「害」を使用するとなると国際的に問題が生じる怖れがあることはこれまでの説明から納得いただけると思います。

中国語や朝鮮語は「碍」と「害」で発音が異なりますので区別が可能です。

障碍者」は韓国では「障碍人」と表記されており、「障害者権利条約」のハングル表記を日本語に直訳すると「障碍人の権利に関する協約」となります。中国の公式訳は「残疾人権利公約」ですが「障碍人」「障碍者」でも通用します。

台湾では未だ本字の「礙」を使用した「障礙者」が使用されています。一例として「心身障礙者権益保障法」があります。先ほど述べたように、「碍」は「礙」の略字です。繰り返しますが「害」を使用した「障害」という表記は日本のみに存在しているのです。

「跳び箱に何の害があるのか」という人がいます。「障害物競争」を指して「害」を「碍」に戻してはという人の言い分です。馬術や競馬の世界でも国際的表記は「障碍競争」と聞いています。「害」を「碍」に戻して「障碍物競走」でも何の不都合もないように思いますがいかがでしょうか。

 

さいごに

以上の経緯より、この表記間題は国語政策の間題だと考えます。《大は小を兼ねる》と言いますが《「障碍」表記は「障害」表記を兼ねる》ともいえると思います。しかし、その逆の「障害者」という表記であれば不都合が生じます。

二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックを控え、国際的な日本の民度の高さを維持するためにも、「障害」表記を元の「障碍」に戻しておくことが肝要と考えます。

「障害者」と「障碍者」あるいは「障害」と「障碍」のどちらが「一概念一表記」の代表表記にふさわしいかの答えは、この文章を読まれた皆さまにお出しいただきたく、お顧い申し上げます。

 

なお、思いつくままに雑文を記しましたが、事実関係については、二〇一〇年の常用漢字改訂時に、文化庁国語課殿で収集された多くの資料を参考にさせていただき感謝していることを付記します。

 

 

 

 

 

 

 

 

今、答えが求められている     佐藤久夫 日本社会事業大学名誉教授

 

本書は、「障碍」という表記が正しいと長年主張されてきた豊田德治郎さんが、「害」と「碍」に関する広く深い知識を整理したものです。タイムリーな文献であり、ぜひ多くの皆様に読んでいただきたいと思います。「タイムリーな」とは、今年五、六月に衆議院参議院の文科委員会が、「碍の常用漢字化を含め、『障害』の『害』の表記について」検討するよう、政府に要請したからです。

この点は二〇〇九年からの「障がい者制度改革推進会議」でも検討され、私もそこに参加しましたが、委員の間の意見の一致が得られず「継続審議」とされてきました。しかし二〇二〇年が近づき、多数の漢字圏からのパラアスリートが来日することから、不適切な表記を早期に改めたいと国会が与野党一致で判断したものと思います。

豊田さんが指摘しているように「害」と「碍」は発音が同じでも「字義」が異なります。「碍」は「妨害」に直面している状況を表し、障害者権利条約の障碍(者)の考え方に一致します。「害虫・害悪の害で呼ばれたくない。私は迷惑な存在ではない」という尊厳にかかわる声に対して、答えが求められています。

 

その先を見据えて   寺内嘉一 芦屋メンタルサポートセンター理事長

 

豊田德治郎氏が大手商社を辞され、我々の事業に携わられたのは10数年前です。その当時、家族会が運営していた作業所は「法外」施設で、細々と運営しておりました。

豊田氏が来られてから、この「法外」施設を、あっという間にNPO法人に、さらに社会福祉法人にとエネルギッシュに実績を築かれました。

その経過の中で「害」の字の誤用に強い怒りを覚えられたようです。2018(平成30)年現在、「碍」の字は、常用漢字には位置づけられておらず、従って、公的な文書などで「碍」の字が使用されることはありません。将来、「碍」の字が常用漢字に位置づけられるようになっても、それは今までの負の遺産を取り戻しただけで、ようやくプラス・マイナスがゼロになるだけです。だからこそ、豊田氏はその先を見据え、「精神障碍」という呼称にも疑問を呈しています。

精神分裂病統合失調症に、精神薄弱が法律用語から消えた経緯を私は精神科医として、リアルタイムで見てきました。いずれの場合も一日にして成っておりません。「碍」の問題の先を見据え、歩みを止めることなく前に進みましょう。

 

 

 

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