tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と「こころの健康基本法」

 昨日(6月6日)集会に出席のため上京しました。集会の名称は《「こころの健康基本法」の法制化を求める国会請願署名72万筆提出集会》という長い名前の会です。主催者はこれまた長い名前の《こころの健康基本法の法制化を求める市民の会》です。この市民の会の主要構成メンバーは①公益法人全国精神保健福祉会連合会②特定非営利活動法人全国精神障害者団体連合会特定非営利活動法人全国引きこもりKHJ親の会公益社団法人全日本断酒連盟⑤一般社団法人日本ケアラー連盟の5団体です。このほか賛同団体には全国の数百団体が名を連ねています。場所は衆議院第二議員会館1階多目的室で収容人数200名の部屋でした。時間は午前11時45分から午後1時15分までの90分間。

 参加者は国会議員約50名(秘書の代理出席を含む)障碍団体幹部が約200名でした。約50名は座席がなく立ったままの状態で盛会でした。

 私は主催者側の一代表として最期の締め括りのご挨拶をしました。以下にスピーチの記録を掲載します。その最期の部分で「碍」のことに触れています。なぜそうなったかについては別の機会に書くことにします。

    
(豊田のスピーチの記録)


 兵庫県芦屋市から参りました豊田でございます。私の長男、50歳が統合失調症でございます。お蔭様で現在は安定しております。9時〜5時の仕事は出来ませんが1日2〜3時間程度の仕事は出来る状態です。「親こそ最良の医師」と言われますが、私も若干、安定に役立ったのではないかと自負しております。

 私は、こころの健康をめぐる諸問題は、その殆どが、国民のこの分野に関する正しい知識の欠如に起因するものと考えています。そのために、多くの誤解が生じ、不公平な状態が平然と放置されています。

 平成23年度版の障碍者白書によりますと、身体障碍者366万人知的障碍者55万人に対し、こころの健康を損なっている人は323万人となっています。先月、5月21日に、内閣府に設置されていました従来の「障がい者制度改革推進会議」が衣替えをして「障害者政策委員会」と改称して再スタートしました。その構成メンバーを見ますと、総勢30名の中で、知事・市長・有識者など中立的立場の委員が14名、障碍団体の出身者が16名となっています。
 
 この障碍団体出身者の障碍別内訳は身体10名、知的4名に対し、こころの健康分野からは、今日ここにご出席の、そして最初に話されましたみんなネットの川崎洋子さんともう一人のわずか2名です。繰り返しますが身体障碍者数366万人、こころの健康を損なっている人323万人です。身体障碍からの委員が10名であれば、こころの健康分野からは7〜8名の委員が選ばれるのが自然です。
加えて、身体障碍分野の福祉はハード面を中心に、既に世界でひけを取らない状態に達していると聞いております。

 こころの健康の分野はどうでしょうか。欧米にくらべ、日本は特に意識の面で半世紀遅れているとも言われています。このような状況下で、このような委員の構成比で日本の障碍者福祉施策の将来方向が議論され決定されようとしています。これでよいのでしょうか。このような極端なアンバランスは、国の予算をはじめ、障碍間格差の存在、メデイアの情報の量と質など、あらゆるところに存在しています。

 このようなアンバランスは早急に是正されなければなりませんが、一朝一夕には不可能です。そこで、それを可能ならしめる環境の構築、整備が必要となります。新しいこころの健康基本法はこの環境の整備を主目的としたものでございます。

 従来のこころの健康関連の法律は、先ほど20本あると聞きましたが、ごく少数の例外的な人達を念頭において作られたもので、そのルーツは「保安」にあります。ルーツが「保安」にある以上、いくら改定しても限界があります。改訂、改定ということではつぎはぎになってしまいます。
 
 この際、323万人を中心に据え、新しいコンセプトに基いて、新しい敷地に新しい家を建てようではありませんか。皆さんいい人達ばかりです。ただ、ご存じないのです。誤解しておられるのです。

 みなさん、環境整備の中で最も根本的な誤解を解く作業、ステイグマの除去作業に本気で真正面から取組もうではありませんか。

 正しい知識の普及という観点から、芦屋市では、こころの健康を損なった人達を「心的障碍者」と呼ぶことにしております。相手の嫌がる言葉は避けようとの主旨でございます。今回、芦屋市議会が国に提出した意見書にもこの言葉が使用されています。障碍の「碍」はウ冠の「害」ではなく石偏の「碍」を使用しています。

 どうか、諸先生方、みなさま、こころの健康基本法の制定の必要性をご理解いただき、ご支援賜れば甚だ幸いです。ありがとうございました。