tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と質問主意書に対する答弁書

6月2日の日記に《「碍」と赤松正雄衆院議員》と題して赤松代議士が6月1日付で政府に対し「碍」の常用漢字への追加に関して質問主意書を提出されたことを書きました。その回答期限が今日(6月8日)でした。

東京出張の疲れが出て、うとうとしていたところ、午前11時ごろ電話が鳴りました。赤松議員の国会事務所からの電話で「これから政府の答弁書をFAXします」という案内でした。飛び起きてFAXの到着を待ちました。

先ずは答弁書の全文を以下に記載しますので6月2日付の日記に掲載されている質問主意書を参照しつつご覧ください。



内閣衆質一八〇第二七一号 平成二十四年六月八日
内閣総理大臣 野田 佳彦

衆議院議長 横道 孝弘 殿

衆議院議員赤松正雄君提出漢字「碍」の常用漢字への追加に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員赤松正雄君提出漢字「碍」の常用漢字への追加に対する答弁書

一から三までについて

現代の国語を書き表すための漢字使用の目安である「常用漢字表」(平成二十二年内閣告示第二号)の字種は、文化審議会によって、その漢字が一般の社会生活において頻繁に使用され、多くの熟語の構成要因となっていることなどを基準として選定されたものであり、現行の全ての常用漢字は、当該基準に合致していると判断されたものである。一方「碍」については、同審議会によって、当該基準に合致していないと判断され、常用漢字表の字種として選定されなかったところである。

四について

ご指摘の「漢字圏」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、諸外国におけるお尋ねの「使用例」について詳細に把握
しているものではないが、例えばご指摘の障害者の権利に関する条約(仮称)における「障害者」に当たる言葉は、中国語正文では「残疾人」とされており、大韓民国においては、ハングルで表記されているところであるが、漢字に置き換える必要がある場合
には「障礙人」と表記されるものと承知している。

五及び七について

障がい者制度改革推進本部」(以下「本部」という。)における「障害」の表記の在り方に関する検討結果によっては、「碍」の常用漢字への追加に関して改めて文化審議会において検討することとされている。

六について

本部の下で開催されている「障がい者制度改革推進会議」においては、平成二十二年十二月十七日に「障害者制度改革の推進のための第二次意見」の取りまとめを行って以降、「障害」の表記の在り方を議題にしてはいない。「障害」の表記の在り方については、これを検討事項とする本部において、意見集約の図り方も含めて引き続き検討を行って参りたい。


以上が答弁書の全文ですが、結論を言えば従来の文科省方針の再確認に終わっております。只の一歩の前進もありません。しかしながら公式文書で見解が示されたことで多くの収穫がありました。これまではメデイアを通しての間接情報のみでした。

文科省は当初から追加する意向は無かったことが明確になったこと。

②追加拒否の理由が選定基準に合致しないこと、即ち「使用頻度」と「熟語の数」が不足であることを理由に除外したこと。

③選定基準の具体的数値が示されていないこと。即ち使用頻度は何で計り基準値はいくらか。熟語の数はいくつ以上ならよいか  など具体的数値が示されていないこと。即ち非科学的な文科省の恣意で選定されている可能性があることが判明したこと。

④民意が考慮された形跡はないことが判明したこと。(5年前の質問主意書による要望、2回実施したパブコメの結果、内閣府が募 集した国民意見の結果、国会での 議論や地方自治体の知事による要望を含めた民意)

⑤漢字圏には日本同様の意味での「障害者」の使用例は存在しないことを文科省が認めたこと。(答弁書では何故か台湾が除外さ れているが台湾では韓国同様「障礙」表記が使用されている。「碍」は「礙」の略字で同義である)

⑥漢字は全国民の共用物であり障碍者の専用物ではないが何故か障碍者に意見を求めている。しかも「碍」の常用漢字への追加に ついての是非を問うのならまだしも、「しょうがい」の公式表記をどうするかといった難問を押し付け、敢えて高いハードルを 設けて追加を阻止する方向で誘導していることが判然としたこと。

⑦しかも「障害」の表記についの検討も約1年半の間、放置されていることが判明したこと。今後の予定も未定であることが判った こと。

質問主意書の最重要ポイントである《まずは「碍」を常用漢字に加え、「障がい」等と同じ条件で表記の検討が行われるべきで ある》 という意見は全く無視され答弁書に反映されていないことが判明したこと。

以上の8項目が判明したことは大きな収穫であり、今後の議論のベースが出来たことになります。

とりあえず今日はこのへんで。