tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」の使用頻度と熟語の数

 赤松正雄衆院議員提出の質問主意書に対する政府の答弁書により、今回の常用漢字の改訂にあたり、「碍」の字が常用漢字に追加されなかった理由が初めて公式に明らかになりました。その理由とは「使用頻度が少ない」ことと「熟語の数が少ない」ことで「基準」に未達というものです。

 そこで以下、反論を試みます。

【「碍」の字の「使用頻度」と「熟語の数」について】

 赤松正雄衆議院議員提出の質問主意書に対する政府答弁書により、「碍」を常用漢字に追加しない理由が「使用頻度」と「熟語の数」が文科省が設定している「選定基準」未達にあることが判明した。

 「選定基準」と称する以上、基準となる具体的数値があって然るべきである。数値基準があれば、それを計測した手段があるべきであり、計測の時期も問題である。特に使用頻度については、時々刻々変化するものであり、直近の数値の計測は困難であろうが、余り古い数値では現況を反映していない惧れがある。「熟語の数」についても同様に「何個以上」といった数値があって初めて「基準」と言えるのではなかろうか。

《使用頻度》

 「使用頻度」の測定が困難であることは容易に想像できる。そこで「使用頻度」≒「出現頻度」となる。「出現頻度」は過去には新聞・雑誌・書籍などの出版物から抽出する膨大な作業が必要であったが、IT時代の現在においてはインターネットの検索機能を活用すれば、より容易になったのではなかろうか。

 因みに「碍」と今回追加された「鬱」「賂」「淫」の4文字を検索した結果は以下のとおりである。(2012年6月10日現在)
「鬱」「賂」「淫」はいずれも今回追加が認められた漢字である。

         グーグル     ヤフー
「碍」      531万件     531万件
「鬱」      473万件     477万件
「賂」      72万4千件    72万6千件 
「淫」      1,540万件    1,540万件

 以上より「碍」の字の出現頻度はグーグル、ヤフーいずれにおいても「鬱」を上回っており、「賂」の6倍以上である。検索の結果が厳に正確とは言えないが大きな乖離があるとも思えない。

《熟語の数》

 熟語の数は法令用語・医学用語・技術用語などの専門用語を含めるかどうかで大きく変わる。専門用語の範囲をどうするかによっても結果は異なる。「碍」の熟語を羅列すると「障碍」「障碍物」「障碍者」「融通無碍」「碍子」が一般的だが碍子関係の技術用語は「碍管」はじめ多数存在する。熟語の数をカウントする場合、現に使用されている「障碍」「障碍物」「障碍者」等も算入すべきことは当然である。

《「使用頻度」「熟語の数」と「害」の取り扱いについて》

 「碍」の使用頻度を計測する場合、戦後、文部省が書き換えを指導した「害」表記は「碍」の使用頻度に加えられて然るべきである。書き換えを指導された「障害」「障害物」「障害者」なども熟語の数に算入されて然るべきである。

 その理由を下記する。

 戦後、漢字制限の流れの中で、昭和21年(1946年)11月に制定された当用漢字表に「碍」が含まれなかったため、文部省は「碍」を「害」に書き換えるよう指導した。それでも「碍」の使用が続いたため、昭和31年(1956年)に改めて、他の熟語と共に「障碍」を「障害」に書き換えるよう「同音の漢字によるかきかえについて」と題する通達を発している。そのなかで、法令用語に限らず「広く社会に用いられることを希望する」としている。

 今回、民意は「碍」の使用の復活を求めている状況であり、文部省の指導により書き換えを余儀なくされている「障害」関係の表記は、使用頻度を計測する際に含まれて当然である。熟語の数の計測においても「障害」「障害物」「障害者」などをその数に算入してしかるべきである。