tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「障碍」表記の普及状況

 日記の記述を怠っている間に政権交代がありました。民主党から自民党への交代です。鳩山内閣で法令などの「しょうがい」の表記をどうするかを検討することが閣議決定され、内閣府に新設された「障がい者制度改革推進本部」(以下推進本部)で検討中に菅内閣が発足しました。


 推進本部での検討結果は既に書きましたように「保留扱い」でした。即ち市井には「障害」「障碍」「障がい」などの表記が混在し、今直ちにいずれか一つには決めがたいというものでした。内閣府が実施したアンケート調査によれば「障害」支持4割に対し「障碍」支持も4割で拮抗し、続いて「障がい」支持が1割でした。従い向後それぞれの表記の「普及状況」を見極めつつ、しかるべき時期までに結論を得ることになっています。


 「障害」表記は既に長期間広範囲に使用され充分普及しており、「障がい」は「障害」表記に問題ありとして「障害」の代替表記としてかなりのスピードで広まりつつあります。但し自治体など「障がい」表記の採用団体の中には「碍」の字が常用漢字に含まれていないため使用できず、やむなくひらかな表記を強いられているところも数多くあると推定されます。前述の内閣府が実施したアンケートの回答の中にも「碍」が常用漢字でないので「障がい」表記を支持するとの記述が多数ありました。同様の理由で「障害」を支持するとの意見も多数ありました。


 そこで「障碍」表記の普及状況です。今回の改訂常用漢字が公布されたのが2010年末(平成22年末)でしたので改訂後2年半が経ったことになりますが、この間「障碍」表記の普及が進んだように感じています。定量的に把握はできていませんのであくまで「感じ」なのですが。常用漢字の改訂に当り、文科省が2009年の春秋2回パブリックコメントを募集、「碍」の追加希望が上位を占めその都度メデイアでも話題となったこと、その後も公布までの間、「碍」が追加字種に加えられるかどうかの記事が新聞紙上を賑わしたことなどが「障碍」表記の普及を一定程度促したものと思われます。


 しかしながら「碍」の常用漢字への追加が先延ばしになったため、自治体で採用したくとも叶わず、メデイアでの使用も制限されているため普及に歯止めがかかっていることも事実でしょう。


 ご参考までに5月20日現在googleでのヒット数は「障害」3,520万件 「障碍」9,130万件 「障害物」310万件「障碍物」9,130万件 「障害者」1,270万件 「障碍者」1,270万件となっています。


 文科省は「碍」を追加しなかった理由として「出現頻度」=「使用頻度」が基準に未達を挙げていますがこのヒット数からして基準は充分充たしていると推定されます。ましてや国民は「障害」の代替表記として「障碍」を使用したいというわけですから「障害」の出現頻度もカウントすべきことは理の当然でしょう。


 推進会議はその役割を終え「障害者政策委員会」がその宿題を継承していると思っています。ぜひ後継の政策委員会(委員数30名・推進会議と同一メンバーが多い)にて表記問題を引継いでいただき新政権下で決着をつけてほしいものです。遅くとも障碍者権利条約批准の一年前には「碍」の常用漢字への追加が果されることを願っています。