「碍」と川内博史衆院議員
さきにふれました「障碍者権利条約勉強会」は「障碍者権利条約研修会」と改名して準備を進めております。「障碍者」と表記したチラシを市議会議員、芦屋市幹部職員、教育委員会委員、民生児童委員、福祉推進委員、地域自立支援協議会委員などに配布中です。
「障碍」の表記につき説明をもとめられるものと覚悟?していましたが案に相違してスムーズに好意的にうけとってもらっています。「碍」の追加希望の多さや加藤秀俊先生の「正論」の記事をよんだ人がおおくメデイアの威力を実感しているところです。
さて川内博史代議士についてです。「碍」について国会で議論されたことがあったかどうかしりたいとおもい「碍」をキーワードとして検索したところでてきました。
平成19年8月7日付で川内衆院議員(民主党)が政府(内閣)あてに質問主意書を提出しています。件名は「法律の条文における(障害)の表記に関する質問主意書」となっています。
質問は3点で
①条文の「障害」を「障碍」に変える場合常用漢字へ「碍」の追加が必要かどうか。
②過去に「碍」の常用漢字への追加を検討したことがあるかどうか。
③文科大臣は文化審議会への諮問を経ずに「碍」を省令で常用漢字に追加可能か。
これに対する阿部総理より河野衆院議長あての答弁は
①については「追加が必要」
②については「追加を検討したことはない」
③については「文化審議会を経るべきで省令では不可」
となっています。
これで常用漢字表は「めやす」といいながら実効力があることがはっきりしました。逆にいえば「碍」が常用漢字に追加されれば「障害」表記を採用した経緯からして法令の条文もこれに倣わざるをえず国際条約も含めてすべてが「正常化」されることになるのでしょう。是非にそうなってほしいものです。
質問本文情報
平成十九年八月七日提出
質問第一号
法律の条文における「障害」の表記に関する質問主意書
提出者 川内博史
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法律の条文における「障害」の表記に関する質問主意書
昭和二十四年の身体障害者福祉法(昭和二十四年十二月二十六日法律第二百八十三号)の成立以降、それまで広く用いられて来た「障礙」ないし「障碍」の「礙」及び「碍」の文字(読みはいずれも「がい」。以下、特に断りの無い限り「礙」の略字である「碍」を用いる。)が当用漢字表(昭和二十一年十一月十六日内閣告示第三十二号)及び常用漢字表(昭和五十六年十月一日内閣告示第一号)において採用されなかったことから法文上は「障害」の表記が用いられることとなったが、「害」の表記は、否定的な意味合いで解釈され得ることから、平成十三年に東京都多摩市で市民からの意見を基に「障がい」とする交ぜ書きの表記を採用した事例を皮切りに近年、地方自治体や民間企業においては「障がい」の表記を用いる事例が増加傾向にある。なお、「碍」の文字は「物事の遂行をさまたげる」ないし「差し障り」を意味し、「害」のような否定的な意味合いで解釈され得る恐れは少ないものとされている。
こうした事実を踏まえ、以下質問する。
一 現行法の条文における「障害」の表記を原則として「障碍」に改める場合、「碍」の文字を常用漢字表に追加する手続きが必要で有るか否か、答弁を求める。
二 文化審議会国語分科会ないし旧国語審議会において、「碍」を常用漢字表に追加することを過去に検討した事実は有るか。有る場合はその検討結果を、無い場合は今後の検討課題として取り上げる意志が審議会事務局に有るか否か、答弁を求める。
三 人名用漢字について、法務大臣が複数回にわたり新規の文字を省令で追加した場合と同様に、文部科学大臣が文化審議会国語分科会への諮問を経ずに省令で「碍」の文字を常用漢字表に追加することは可能なのか。答弁を求める。
右質問する。
答弁本文情報
平成十九年八月十五日受領
答弁第一号
内閣衆質一六七第一号
平成十九年八月十五日
衆議院議員川内博史君提出法律の条文における「障害」の表記に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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衆議院議員川内博史君提出法律の条文における「障害」の表記に関する質問に対する答弁書
一について
昭和二十九年三月に当時の国語審議会会長から内閣総理大臣に対し、一般国民の守るべき規則を定めた法令の用語が国民教育の線にそったものであり、かつ国民に理解しやすいものであることを要するという観点から、法令用語を改善するために適当な処置をとるよう建議がなされた。その中に「障碍」の語についても、当用漢字表・同音訓表にはずれた「碍」の部分を「害」の漢字に改めて「障害」とすることなどが盛り込まれていた。そこで、政府としては、当該建議の趣旨を踏まえ、法令用語において、「障碍」の語を「障害」に改めていくこととした。
その後、政府において、昭和五十六年三月の国語審議会の答申を受けて、同年十月に現代の国語を書き表すための漢字使用の目安として「常用漢字表」(昭和五十六年内閣告示第一号)を定め、公用文における漢字使用もこれによることとしたことから、法令における漢字使用についても同様としたが、「碍」が常用漢字表に記載されないまま現在に至っているため、法令においても引き続き「障碍」ではなく、「障害」の語を用いることとしているものである。
二について
昭和五十六年十月に常用漢字表が定められて以後、国語審議会又は文化審議会国語分科会において、同表に「碍」を追加することを検討した事実はない。
また、文化審議会においては、平成十七年三月に文部科学大臣から情報化時代に対応した漢字政策の在り方について諮問を受け、現在、同審議会国語分科会で常用漢字表の在り方についても審議が行われているところであり、文部科学省としては、今後の議論の推移を見守りたいと考えている。
三について
常用漢字表は、一般の社会生活において現代の国語を書き表す漢字使用の目安として定められたものであることから、文部科学省としては、同表を改正するに当たっては、国語の改善及びその普及に関する事項の調査審議を所掌事務とする文化審議会国語分科会での審議を経るべきものと考える。