tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

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「碍」と推進会議ー5

第5回推進会議での「しょうがい」の表記をめぐる議論を録画でみていてちぐはぐだなと感じました。論点が二つあったことが混乱を招いたのでしょう。すなわち設問は①多数の自治体が「障がい」表記を採用していることなど「障害」の表記が不適当とする意見が多い中で各委員はどう思うかということと②新常用漢字に「碍」を追加してほしいとの意見に対してどう思うかの2点でした。②については推進本部として文化庁あてに意見を提出するため推進会議の意見を聞いておく必要があるわけです。したがい委員各人がどう思うかという感想と常用漢字への追加問題への対応は分けて考える必要があろうかとおもいます。


仮に「碍」が常用漢字に追加されたとしても追加されたから即自動的に「障害」が「障碍」に変更されるわけではありません。ただ現状では法令や報道などは「常用漢字」を尊重するという慣行がある以上、常用漢字への追加が見送られた場合には当分の間「障碍」への変更の可能性はほとんどゼロとなります。換言すれば「碍」の常用漢字への追加は事実上「必要条件」であり「充分条件」ではありません。この選択肢さえも抹殺してしまってよいものかどうか。①はともかく②については冷静な再度の議論が必要だと考えます。その意味で東室長の総括での再度議論しましょうというご発言は妥当であったと評価します。


障碍者権利条約は国際条約です。「しょうがい」表記の議論には国際的視点も必要です。同じ漢字圏には中国・韓国・台湾がありますがこれらの国では「障害者」に」「害」は使用されておりません。前にも書きましたが韓国での表記は「障碍者」であり中国では「残疾人」台湾では「碍」の元字を使用した「障礙人」です。推進会議では佐藤久夫委員がただお一人国際的視野からの意見を述べておられますがもっとこのような話題が出てもよかったのではと思っております。


繰り返し書きますが故丸山一郎先生は「障害」は「障碍」の「誤用」であると断言しておられます。「誤用」ではないと主張される方がいらっしゃったらぜひ反論していただきたいと思います。「誤用」であるならば誤りは直ちに訂正されてしかるべきと考えます。ことばは一般国民にわかりやすい正しい言葉でなければなりません。国民への周知や普及啓発を目指すのであればなおさらです。ごく一部に「害」には有害や害毒などのマイナスの意味のほかにも「さわり」という意味もあるから「障碍」も「障害」も同じだとの意見もありますがこれこそまさに木を見て森を見ずの極論でしょう。「障碍」も「障害」も発音は同じという意見にいたってはなにおかいわんやです。「傷害」も「障害」も発音は同じです。漢字が表意文字であることすらご理解いただけていないのは誠に残念です。


推進会議で諸法令の議論が進むでしょう。その結果立派な法令が出来上がったとしても結局はそれを如何に国民に周知するかが大きな課題となるでしょう。ひいては国民の意識の変革という大仕事が待っています。その第1歩としての周知を図る手段として「表記」は大事な問題となります。多くの国民を巻き込んだ議論が必要でありその議論の過程自体も重要です。かかる大事な議題をわずか30分弱の時間で片付けるのは到底無理だと思います、充分に時間を使っての議論に期待します。再度「名は体を表す」の諺の重要性を指摘しておきたいと思います。