「碍」と文化審議会
4月13日に開催されました文化審議会漢字小委員会で改定常用漢字表の最終案が審議され、使用頻度が多いとの理由で「淫」が追加され、国民からの要望の多い「碍」が見事に外されました。
早速、各メデイアが反応しています。14日の産経抄は「碍の追加を求める声が、一般から出ていたが見送られた。「障がい」という奇妙な交ぜ書きを使う風潮が、ますます広がるとすれば残念だ」と書いています。
使用頻度が基準だと言うならば「障害」の使用頻度もカウントすべきだと思います。なぜなれば戦後、国は当用漢字から「碍」を外すにあたり、ただ単に同音だという理由で意味の異なる「害」への書き換えを指導した経緯があるからです。
今回の諸報道を受けて国民の間には常用漢字不要論が出てきています。「書く」から「打つ」に時代が変り、いまさら国が国民が日常使用する漢字に口を挟む必要はないのではという意見です。
そこで提案ですが、従来型の常用漢字は廃止し自由化して、その選択は「神の手」に委ねては如何でしょうか。
その上で国際条約や法令、教育用の漢字などに範囲を限定して、根拠のある基準に基づいて新しいルールを設定するほうがより現実的だと思います。
今回、文科省は自ら判断することを断念・回避し内閣府(障がい者制度改革推進本部)に下駄を預けた格好になっています。つまり推進会議の本部長である鳩山総理の決裁事項となったわけです。
推進本部は推進会議の意見を参考に最終判断を下すことになりますが、その推進会議では二つに分けて議論したほうが結論が得やすいと考えます。
すなわち議論の対象を①一般国民が使用する場合の「しょうがい」の表記と②条約・法令などの公用語の「しょうがい」表記をどうするかに区別してはということです。
①については「完全自由」でまとまるでしょうし②については推進会議の主要議題の一つでもある「しょうがいしゃ権利条約」の表記をどうするかを議論すれば自ずと解が見つかるのではないかと思います。(1)障害者権利条約(2)障がい者権利条約3)チャレンジド権利条約(4)障碍者権利条約の4択でどうでしょうか。
この場合、漢字圏を構成する一員として国際的視野からの判断も必要だと思います。例えば中国では同条約を「残疾人権利国際公約」と称しており、韓国は「国際障碍人権利条約」と規定しており「害」は使用しておりません。
推進会議での議論の結果がどのようになろうとも、「障碍」表記を妥当とし支持する国民が多数存在する以上、表現の自由を担保する意味においても「推進本部」としては「しょうがい」表記の選択肢の一つとして「碍」の改定常用漢字表への追加について文科省宛に肯定的回答をなされるものと固く信じております。
推進会議構成員各位の良識あるご判断に大いに期待しているところです。
因みに現状でも「常用漢字は単なる使用上の目安」とされており法的拘束力は一切なく事実上民間は自由に使用できることになってはいますが隠然たる拘束力が存在することもまた事実であることを書き添えます。