tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」とみんなげんきクラブ(7)

「倶楽部」は古めかしいとの意見があったので「みんなげんき倶楽部」の表記を「みんなげんきクラブ」に変更しました。


4月21日の産経新聞が社説(正論)で「碍」の問題を採り上げていました。「障がい」との交ぜがきに批判的な論調には同感ですが「害も碍もさまたげるの意をもち、害にはそこなうの意もある」との記述には違和感をもちました。


「害」の熟語はほとんどが能動的に「害する」の意であり「さまたげる」の意で使用されている言葉は少ないと思います。「障害物競走」も「障碍物競争」が書き換えを指導された結果であり、社会学者の加藤秀俊先生も「跳び箱に害はない」と書いておられます。従い大多数の国民は「害」を「害する」と理解し「そこなう」と解釈できるひとはごく限られた一部の学者だけでしょう。このような特殊な解釈を国民に押し付けるのはいかがなものかと思います。


戦前も「障碍」と「障害」の表記が併存していたといわれますが「障害」は主として医学用語として使用されていたと思います。先人が「disorder」という英語を「障害」に邦訳し、爾来、連綿とこの訳語が現在まで継承されていると理解しています。この邦訳が正しかったかどうか、今の時代に合致しているかどうか検証されてしかるべきでしょう。



戦前は障碍を盲・聾・唖などと個別に呼称し「障害者」といった総称は無かったように思います。戦後、障碍福祉の発想が生まれ総称を設ける必要が生じ障害が人と結びつき「障害者」と総称するようになって、問題はより複雑化したのでしょう。当用漢字に「碍」が入ってさえいれば間違いなく「身体障害者法」ではなく「身体障碍者法」と表記されたと思います。


因みに同じ漢字圏の中国・韓国・台湾では現在も「害」と「碍」は全く別の漢字として明確に区別して使用されています。従い「障害」が外来語である以上「Schizophrenia」の当初の邦訳が「精神分裂病」であり、近時「統合失調症」に変更されたように「Disorder」が「障害」を経て「障碍」に改称されても何の不自然さもないと考えます。


みんなげんきクラブとして内閣府障がい者制度改革推進本部の推進会議の委員あてに「しょうがい」表記問題に関する提言書をおくりましたので以下に全文を掲載します。 



2010年4月20日

障がい者制度改革推進会議               

委員 〇〇 〇〇 様

みんなげんきクラブ                       
代表  柏木 彰

拝啓 陽春の候、ますますご清祥のことと、お喜び申し上げます。

「しょうがい」の表記について

このたび文部科学省は「碍」の字の改定常用漢字表への追加の判断を障がい者制度改革推進本部に委ねました。

「しょうがい」の表記についてはいろいろな意見が混在するところであり、民間での使用については表現の自由の観点より、必ずしも表記を統一することは適切ではないと考えます。

しかしながら、国際条約、法令などの公用語での表記は、一定の基準の下、統一されたものである必要があろうかと思います。

そこで、推進会議で「しょうがい」の表記問題を議論されるにあたり「一般用語」と「公用語」に分けて検討されることをご提案申上げます。

民間での一般使用についてはこれを「自由」とすれば異論はないものと思われます。

公用語については推進会議の主要議題でもある「しょうがいしゃ権利条約」の表記をどうするかを討議された後に、「障害者権利条約」「障がい者権利条約」「チャレンジド権利条約」「障碍者権利条約」の4択の採決で決定されること
をご提案いたしますので宜しくご検討下さいますようお願い申上げます。

この場合、日本は漢字圏構成国の一員であることを自覚し、国際的視点からの検討も必要と考えます。因みに中国では「残疾人権利国際公約」であり韓国では「国際障碍人権利条約」と公訳されており「害」は使用されておりません。


たとえ議論の結果がどのような結論となっても、「障碍」表記を適切として要望する国民が多数存在する以上、国民の表現の自由を担保する意味においても
「障碍」の表記を選択肢の一つとして位置づけ、その選択権を剥奪する結果とならぬようご高配をお願いする次第です。

委員各位のますますのご活躍を祈念しております。
敬具

追記:「みんなげんきクラブの概要」を添付します。
   「碍」をめぐる諸議論については以下の幣クラブの一員である豊田徳治郎のブログをご参照ください。
http://d.hatena.ne.jp/tokujirou/20100417/1271478139