tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と韓国

1970〜1974年伊藤忠商事のソウル支店長代理(兼)化学品・エネルギー部長として韓国に駐在しました。当時の韓国は後に「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長の初期で唯一無二の優良大企業が韓国政府と米国ガルフオイル社の合弁企業である大韓石油公社でした。


大韓石油公社需給部の文(ムン)部長は戦前の朝鮮石油での勤務暦があり日本語に堪能で文芸春秋を毎月隅から隅まで読んでいるというのが自慢でした。


ある日、雑談の中で「日本では障碍人を障害者と書いているようだがこれでよく日本の障碍者は怒りませんね」と言われました。以来20数年そのことは忘れていましたが長男が統合失調症を罹患し、いただいた手帳に「障害者」と書いてあったのを見て突然に昔の出来事を思い出した次第です。


さる筋を通して現在の韓国での「害」と「碍」の用法を調べてもらったところ、予想通り「害」は他に危害を及ぼすという意味で使用されており、「碍」は遮る、邪魔になる、妨げになるという意味で用いられているとのこと。


「障碍」の語源については韓国の有力紙「東亜日報」が「漢字のルーツを読む」という記事を連載しており、その中には「障碍」には、「碍」は石で道がふさがれ、行くところに行けない姿というところから、本来備えているべき身体的条件の欠陥により、自身の発揮する能力に困難をきたす姿を意味するようになったことが記されているとのことでした。


他方、「害」の意味には害する、妨害する、妬むのほか殺すという意味も記載されています。(漢韓大辞典)「害」を含む熟語は日本のみならず韓国でも全てネガテイブなな意味をもっているようです。日本の辞書にも「害」に殺すという意味との記述があります。自害や殺害や傷害からきているのでしょう。


因みに日本で仮訳されている「障害者の権利に関する条約」は韓国では「障碍人の権利に関する協約」と訳出されるとのことで「害」の字は出てきません。


以上より韓国では現在も「害」と「碍」は明らかに異なったケースや意味で使用されており、日本で戦争直後の混乱期に作られた「身体障害者福祉法」の「害」は明らかな誤用であるとする故丸山一郎先生(元埼玉県立大学教授)の説が裏付けられると言えると思います。


障がい者制度改革推進会議では障碍福祉分野での海外展開も議論されており、「しょうがい」の公文書表記の議論の際には国際的視点からの検討も必須と思われます。


中国・台湾でどのように使われているかも調べてみたいと思っています。