tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と中国・台湾

商用で中国・香港・台湾は数十回訪問しましたが仕事柄(貿易)「碍」や「礙」の字に接する機会はありませんでした。目には触れていたのでしょうが無関心で見逃していたのでしょう。「広」(日本漢字)という字は台湾・香港では「廣」(繁体字)、中国に入ると「广」(簡体字)となり「广州」と表記されています。台湾では一般的に繁体字が使用され特に知識層は好んで繁体字にこだわっているようです。中国では識字率を高めるために簡体字の普及を促進してきましたがやはり簡体字では表意文字の特色が発揮されず美しさの問題もあって繁体字復活の動きがあるのを政府は牽制している様子です。


さて、「碍」「礙」と「害」です。しかるべき機関での調査によれば中国での「碍」「礙」の意味は「阻止する」「妨げる」の意に対し「害」は「害する」「妨げる」「殺害する」とあります。日本の辞書にも「殺す」との記述があります。「碍」「礙」には「殺害する」の意味はありません。


台湾でも中国とほぼ同じ意味で使用されており教育部国語推行委員会編纂の「重編国語辞典修訂本」によれば「碍」「礙」は「阻止する」「制止する」妨げる」とあり「害」は①害、災い②弊害・短所③損なう④妨害する⑤殺す⑥病気になる⑦有害な とありやはり「害」には「殺す」の意が含まれています。中国・台湾共に「害」の熟語は殆どネガテイブな意味で使用されているのに対し「碍」の熟語は妨碍・阻碍・碍事」「障碍」とソフトな意味合いで使われています。韓国同様「害」と「碍」又は「礙」は異なる意味や場面で使用されているのは明らかです。「公害」が中国・台湾で共通して日本からの外来語として使用されているのは面白い事例です。



台湾での障碍者の表記が「障礙(碍)人」であるのに対し中国では「残疾人」と呼称・表記されています。残疾人とは「疾病が残っている人」ということで真に合理的な表意文字になっています。韓国(障碍人)同様、中国や台湾でも「害」という文字は使用されていないようです。



中国における「障碍者の権利に関する条約」の公式訳は「残疾人権利公約」又は「残疾人権利国際公約」となっており、これは2008年6月26日の第11回全国人民代表大会常務委員会第3次会議で批准が決定されています。因みに日本は同条約への署名は済んでいますが批准はこれからです。


同条約の外務省仮訳は「障害者の権利に関する条約」となっており「障害者」の部分を「障碍者」に訂正する必要があるでしょう。
適当な漢字が無いならば仕方がありませんが日本も「碍」という立派な漢字を持っている以上「障がい者権利条約」の交ぜがき表記には違和感を持つ人が多いでしょう。