tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と推進会議第1次意見

推進会議は本年1月12日の第1回会議以降ほぼ毎週開催され6月7日の第14回会議では第1次意見のとりまとめが行われました。委員の皆様には毎回4時間の長丁場の会議に加え、その準備も含めると膨大なエネルギーを投下されたことになり深甚の敬意を表します。


「障害の表記」について第1次意見には以下の文言が記述されました。

「障害」の表記については、「障害」のほか、「障がい」「障碍」「しょうがい」等の様々な見解があることを踏まえ、障害者の「者」にあたる部分の表記の在り方も含め、推進会議としては、今後とも、学識経験者等の意見を聴取するとともに、国民各層における議論の動向を見守りつつ、それぞれの考え方を整理するなど、引き続き審議を行う。


この記述に関連して佐藤委員より、「障碍」表記の妥当性を訴えつつ、推進会議として、早期に(答申に間に合うよう)文科省に対し「碍」の常用漢字への追加を要請すべきとの意見が出されましたが採択にはいたりませんでした。「障害」のままでよいとする意見のほか関口委員よりは「被障害者」という表記もあるとのコメントが出ました。(前回の会議で関審議官より文化審議会の答申とリンクして考える必要はないとのコメントがありました)


今回、推進会議が諮問を受けているのは、公用語としての「しょうがい」の表記であることも事務局との間で確認されました。
従い民間一般の表記は自由で何等拘束を受けるものではありません。


ところで、会議の総時間は4時間X14回=56時間、休憩その他を差し引いても正味42時間が費消されたことになります。この中で「障害の表記」に費やされた時間は、計測はしていませんが事務局側の説明も含めて15分程度でしょう。これでは議論されたことになりません。委員に配布された資料も文化審議会の資料の写しだけで推進本部の資料は僅かです。委員の皆さんは膨大な各論への意見を求められており予備知識も与えられないままに判断を要求すること自体に無理があると思います。従い第1次意見がこのような記述にならざるを得ないことは残念ながらやむなきことと受け止めています。


継続審議となりましたが、次回本件で議論される際には、文科省の資料だけに依拠するのではなく、事前に事務局にて中立的・客観的資料の準備をお願いしたいものです。これまでに議論になっていない点は主に(1)「障害」が「障碍」の誤用であるかどうか、(2)国が「障碍」の「障害」への書き換えを指導したかどうか(3)同じ漢字圏、中国・韓国・台湾で「しょうがい」はどう表記されているか(4)本当に「障害」より「障碍」のほうが悪い意味なのかの4点です。


(1)については故丸山一郎先生(元埼玉県立大学教授)が「誤用である」と断じておられます。

(2)は戦後の混乱期に制定された当用漢字(昭和21年11月告示)から「碍」が外れたため、その直後に制定された「労働基準法」(昭和22年4月5日)の第77条「労働者が業務上負傷し、又は病気にかかり、なおったとき身体に障害が存する場合においては・・・」の記述があるようです。この時点では既に当用漢字が告知されており、「障碍」と表記したくとも出来ない状態にあり、「障害」と表記されたと推定されます。今の常用漢字と異なり当用漢字は漢字を制限しようとの意図の下で制定されたものであり、その使用については文部省の強い指導があったものと推測されます。その後の「身体障害者福祉法」(昭和24年12月26日制定)でこの書き換えが決定的なものになったと言われています。「障碍者」の概念自体が戦後の産物であり「害」が人に対して法令として公式に使用されたのはこの「身体障害者福祉法」が有名です。確かに戦前にも「障碍」と「障害」の両方の表記が存在しましたが人に対してではなく事物を対象に使用された例が多いと聞いています。(正確を期せば「身体障害者福祉法」の直前に「国立身体障害者更正指導所設置法・・昭和24年5月31日制定・・で「身体障害者」の表記が出現しているとのこと)

(3)は中国・韓国・台湾においては戦前戦後を通じて「障碍」又は「障礙」(礙は碍の元字)が使用されています。(中国は障碍者  を残疾人と表記)因みに障害者権利条約はハングルを訳すると「障碍人の権利に関する条約」となるとのこと。

(4)につき文科省は大昔のことを持ち出して「障礙(ショウゲ)」には「悪魔・怨霊などが邪魔すること」「たたり」の意味があっ  たことを根拠に「障害」より「障碍」のほうがより悪い意味であるとの見解を公式の場で発表していますが、そうれあれば「障  害」には「人を殺す」という意味があることを言わざるを得ず(現代の辞書に明記されている)これを並べて「悪魔・怨霊のた  たり」と「人を殺す」のどちらがより悪い意味かを世に判断してもらう必要があるでしょう。


以上の4点につき異なったご意見があれば伺いたいのですが。