tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と「害」は同義語か?

「しょうがい」の表記について文科省からバトンを渡された内閣府障がい者制度改革推進本部)は近々コメントの発信を求められています。


10月19日の日経報道によれば、文化庁の氏原主任調査官は「(碍)については、告示の前後にかかわらず追加される可能性があります」と発言しておられます。このような前向きの発言は初出です。


改定常用漢字については、早ければ11月末にも閣議決定されて告示されると仄聞しています。告示前の追加を可能ならしめるためにはその手続きに要するリードタイムが必要であり、内閣府閣議決定に間に合うように文科省あてに意見を発出されるものと予測します。


推進会議に課せられている本来の課題は「しょうがい」の「公式表記」をどうするかであり、条約や法令などの「公式表記」は慎重に議論されるべきであり、とても短時日で結論の出せる課題ではありません。


従い、時間もないことでもあり、推進本部から文化庁あてに「(障碍)を公式表記の候補として検討するので(碍)の字を加えておいてほしい」と「要望」すれば文化庁はこれを拒む理由はないものと判断します。出現頻度問題は書き換えが指導された「障害」をカウントすれば解決します。


「害」より「碍」のほうがより悪い意味だとの国語審議会の公式見解に驚いていたところ、またまた驚くべき意見が出てきました。
「害」も「碍」も同じ語義だから「障害」表記を変える必要はないとする意見です。名前は伏せますがしかるべき地位にある知識層に属する方のご意見です。


これまでに既に述べてきましたが「害」と「碍」では語源も異なり、語義も当然ながら異なるというのは常識です。日本国内のみならず漢字圏全てにおいて区別して使用されています。中国・韓国・台湾では発音も異なります。


以下はしかるべき資料からの抜粋です。


日本の「角川大字源」(1992年)によれば

「害」=そこなう。いためる。傷つける。ころす。生きている者の命を止める。

「碍」=妨げる。遮る。邪魔をする。

中国の基本的な辞典である「新華辞典」によれば

「害」=害する。殺害する。

「碍」=阻止する。妨げる。

台湾の「重編国語辞典修訂本」によれば

「害」=災い。損なう。殺す。

「碍」=阻止する。制止する。妨げる。

韓国の「漢韓大辞典」「最新漢韓大辞典」によれば

「害」=害する。妬む。殺す。

「碍」=遮る。邪魔になる。


以上、日本・中国・台湾・韓国のいずれの漢字圏でも「害」には「殺す」の意味がありますが「碍」にはそのような意味はありません。これだけでも「害」と「碍」の字義が異なることが明白であり、「障碍」から「障害」への書き換え指導が不適切であり、更に「障害」を人に対して使用した「障害者」なる表記は即刻見直すべきであると主張する所以でもあります。