tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」改定常用漢字表への追加ならず

29年ぶりに改定された新常用漢字は11月24日に閣議決定され、本日11月30日に官報にて告示されました。遂に「碍」の字の改定常用漢字表への追加は見送られました。10年前に現行の「障害」の表記に疑問を持ち、常用漢字が見直されるらしいとの情報を得てから5年間、「碍」の字の追加に真摯に取組んできた筆者としては誠に残念であり慙愧に耐えません。

以下は関連する新聞報道(WEB記事)です。

産経新聞

【新・常用漢字表】見送られた障碍の「碍」は議論継続
2010.11.24 11:25
常用漢字表の改定作業で、追加要望が多い字の一つが「碍」。「障害」を「障碍」と表記できるよう障害者団体が求めるが、内閣告示では見送られた。ただ、「障害」表記を議論している政府の「障がい者制度改革推進本部」の結論次第で、文化庁は追加も検討するとしている。
戦前は「障害」も「障碍」も「妨げ」という意味で両方とも使用され戦後「障害」の表記が定着。これに関係者から「『害』は否定的なイメージが強い」と「碍」の追加を求める声が高まっていた

【読売新聞】
「障害」から障碍へ変更せず…表記一本化が難航
「障害」の表記の見直しを検討していた政府の「障がい者制度改革推進会議」は22日、「障碍(しょうがい)」などへの変更は当面行わないことを決めた。
この結果、今月中にも内閣告示される改定常用漢字表には、「碍」が含まれないことが確実となった。
障害の表記を巡っては、「害」のイメージが悪いなどとして同会議が今年8月、専門の作業部会を設置して検討を開始。9月には内閣府が一般から意見募集を行ったが、「障害」と「障碍」がいずれも4割の支持を得るなど統一表記への一本化が難航。表記見直しは「今後の継続課題」とし、現行の「障害」のままとすることにした。
改定常用漢字表の見直しを所管する文化庁は、同会議の結論次第では常用漢字表に「碍」を組み込むとしていた。
(2010年11月23日18時12分 読売新聞)

毎日新聞産経新聞と同一内容の記述です。

敗因は以下の三つが考えられます。

(1)官側の対応の予測の甘さ
   「義」も「理」も我にありとして安易に考えすぎていたようです。甘くはないという忠告は受けていたのですが、まさか「障碍」=「しょうげ」で
   「悪魔・怨霊がいたずらをする」の意であり「障害」よりもより悪い意味であるとの見解が通用するとは夢想だにしませんでした。この誤りは内閣府    (障がい者制度改革推進会議)の良識で是正されるものと信じこんでいました。出現頻度についても書き換えを指導された「障害」を参入すべしとの意   見も無視された格好になりました。まさに悪魔・怨霊にいたずらをされた感じです。それにしても鳩山さん(民主党)の問題提起をものともせず初志貫   徹した官側の戦略・団結力には脱帽です。 

(2)障碍団体対策の不徹底
   障碍団体の理解と支援が得られなかったことが致命傷になりました。「全国精神病者集団」の反対は予想していましたが、その他の良識ある日本を代表   する障碍団体までもが「人を殺める」という意味を持つ「障害」表記に固執する事態は想定外でした。「碍」は確かに馴染みの薄い漢字ですが関心を持   って勉強すればすぐ判ることです。半年も時間があったのでその間に理解が進むであろうとの安易な予測を反省しています。

(3)世論の醸成が不充分
   最大の敗因は障がい者制度改革推進会議の委員を含む世論の醸成が不充分であったことだと思います。「障害者」は「障碍者」の誤表記であると主張す   る理論的根拠は示したつもりですが、推進会議の委員の皆さんにもこの点に関心を示していただけなかったことになります。その証拠に誤表記であるこ   とについての反論は一切出されておりません。国際的視点(漢字圏の事情)からの考察が必要であることも度々訴えてきましたが表記検討チームが提出   した報告書には触れられておりません。

以上敗戦の弁を述べましたが、これまでご支援いただいた各位には、一区切りでもありますので、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。

「碍」の字が国民の目の前から殆ど消えて半世紀、その復活には膨大なエネルギーを必要とするでしょう。少し大袈裟ですがコペルニクスの心境もかくやありなんと勝手に想像しています。「地動説」の普及に向けて新たな一歩を踏み出すことをここに宣言します。