tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と東俊裕室長

東俊裕氏は熊本市出身の弁護士さんで、障碍者権利条約の関係で国連でも活躍され、推進会議の創設と同時に内閣府障がい者制度改革推進本部の室長に就任されました。9月のヒアリングで上京の折、推進室でお目にかかりご挨拶しましたが、筆者と同郷ということもあってなごやかに短い言葉を交わすことができました。ご自身がポリオの患者で車椅子を使用しておられます。温厚なお人柄で頭脳明晰な常識人とお見受けしました。推進会議も藤井議長代理と名コンビで膨大な事務をてきぱきと捌いておられます。


12月6日の推進会議で佐藤委員は3月の「東室長の発言に戻ろう」と呼びかけられ合意されました。参考までにその発言を以下に記載します。


【2010年3月19日開催の推進会議「障がいの表記」に関する議事録からの抜粋】

東室長の意見と藤井議長代理によるまとめの部分です。

○東室長 東です。
さまざまな御意見をいただきましたけれども、私見ですけれども、一般社会が障害者に対してどういう呼び方をするかという問題と、障害当事者が自分のことをどう表示するか、社会に向けて発信するかというのは若干違う問題だと思います。自分の障害を社会に向けて発信するときに、表示の選択の幅という意味で、「碍」が常用漢字にないという場合に、そういう漢字を使いたいという人にとっては、それはやはり差し障りがあるわけです。だから、法律ないし社会一般がどう呼ぶべきかという議論とは別個に、自分をどう外にアピールするかというときの選択肢として、どういうものを用意しておくかというのは別の議論として考えていただきたいという点が1点あります。
そういう意味で、これまでの中でいろんな人がいろんなことを言ってきているわけですけれども、それはやはり自由だと思うんです。それぞれの選択であるし、ろうあ連盟の人が聴覚障害者○○協会という名前ではなくて、従来の名前を使われていることと同じだろうと思います。
「碍」についても、昔からこの「碍」がいいと主張されてこられている方もいらっしゃいます。それに対して、だめだと全体が言うということはおかしいと思うんです。そういう意味で、国語審議会は、30年に一度開かれるかどうかの機会だそうなんです。「碍」がないということについて、障害者団体の中で、それがいいという方がいらっしゃるならば、それはちゃんと使えるような形にすべきという意味で、この会議の意見を送るかどうかということが、4月から5月の間について求められているところであるんです。その上で、中間まとめみたいなものに法律の表記としてどうするかという意見を上げなければならないという段階です。
それで、今日はさまざまな意見をいただいたわけですけれども、担当室としては、もっと多くの、一般国民を含めた形での意見を、インターネットを通じたような調査とか、ホームページにダイレクトに書き込んでもらうような方法で、もう少し意見をいただいた上で、再度この点について、こういう意見がありますという形で皆さんにお諮りをした上で、4、5月の文化審議会に対する対応をどうするか、中間とりまとめとしてどうするかということです。再度諮りたいと思っておりますので、そういう方向性でよろしゅうございますでしょうか。
○藤井議長代理 それでは、今のことは継続して、各団体で持ち帰って是非議論していただいて、今、言ったように、常用漢字の見直しの時期、一旦遠ざかってしまうと、ハレー彗星のごとく、もう30年間めぐってこないということなので、この段階で、特に悪くなければ、入れるということも含めて議論しよう、今言った調査を含めて、6月の初め、5月の終わりぐらいにもう一度この場で議論しようということなので、また考えてきてください。
私も15年ほど前、ある障害を持ったお母さんに、重度の障害児と言ったんです。お母さんは反論したんです。藤井さん、そう呼ばないでください。どういう意味ですかと言ったら、ニーズが多い人と言ってくださいと言われたんです。あっ、なるほどなと痛感したことを今、思い出しました。
さて、このことは東さんのことをまとめにして、もう一度やるということを前提に、これで終わります。


この3月時点での東室長発言は、まことに公平・妥当適切な常識的なご意見であり、この時点で筆者は先行きを楽観したのですが、その後に何かがあったのか無かったのか、様子は一変しました。このあと常用漢字への追加問題は議論もされず、従い第1次意見にも追加問題は触れられませんでした。内閣府事務局にその意思さえあれば6月7日の答申に間に合ったはずです。答申後も告示までには半年のリードタイムがあったわけです。その間、追加に対して合理的な理由にもとずく反論があったとは聞いておりません。反論どころかこの間、国会では答申前と告示前に2度も与野党議員により「碍」の追加を促す議論がなされています。


文科省は「告示後の1字追加もありうる」と公言しています。ぜひこれまでの遅れを挽回し国民の要望に応えてもらいたいと切望します。