tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

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「碍」と推進会議の第2次意見

障がい者制度改革推進会議は昨年の12月17日に「障害者制度改革の推進のための第2次意見」を確定し公表しました。

その第2次意見の中の「障碍の表記」に関する部分を以下に記載します。


Ⅱ.「障害」の表記 (P68〜70)

(推進会議の問題認識)

【作業チームの設置】

推進会議は、「障害」の表記に関する作業チームを設置し、「障害」のほか、「障碍」、「障がい」、「チャレンジド」等の様々な見解があることを踏まえ、それぞれの表記を採用している障害者団体、地方公共団体、企業、マスメデイア、学識経験者等10名から、その考え方や運用状況等についてヒアリングを行うとともに、障害団体関係者も含む一般からの意見募集を実施した。同作業チームによる報告を受けた推進会議はその報告に基づき、現時点における考え方の整理と今後の課題について検討を行い、以下のことを確認した。

【表記問題に対する結論と課題】

「障害」の表記については、様々な主体がそれぞれの考えに基づき、様々な表記を用いており、法令等における「障害」の表記について、見解の一致をみなかった現時点において新に特定の表記に決定することは困難であると判断せざるを得ない。

他方で、この度の様々な関係者、有識者からのヒヤリング等を通じて、これまで明らかになっていなかった検討課題や論点も浮かび上がってきており、今後「障害」の表記に関する議論を進めるに当っては、以下の観点が必要と考えられる。

・「障害(者)」の表記は、障害のある当事者(家族を含む)のアイデンテイテイと密接な関係があるので、当事者がどのような呼称や表記を望んでいるかに配慮すること。

・「障害」の表記を社会モデルの観点から検討していくに当っては、障害者権利条約における障害者(persons with disabilities )の考え方、ICF国際生活機能分類)の障害概念、及び障害学における表記に関する議論等との整合性に配慮すること。

これらを踏まえ、法令等における「障害」の表記については、当面、現状の「障害」を用いることとし、今後、制度改革の集中期間内を目途に一定の結論を得ることを目指すべきである。

【今後の取組】

 今後の取組として、具体的には、以下の取組が重要であるが、その際、障害は様々な社会的障壁との相互作用によって生じるものであるという障害者権利条約の考え方を念頭に置きつつ、それぞれの表記に関する考え方を国民に広く紹介し、各界各層の議論を喚起するとともに、その動向やそれぞれの表記の普及状況等を注視しながら、今後、更に推進会議においても検討を進め、意見集約を図っていく必要がある。

 なお、表現の多様性を確保する観点から自治体等が「障碍」という表記を使いやすくするべきとの意見もあり、「碍」を常用漢字に追加するよう提言することの適否について、併せて検討すべきである。

 以上を踏まえて、次のことを行うべきである。

・各種シンポジウムや障害者週間等の啓発事業を通じて、「障害」のそれぞれの表記に関する議論を紹介するとともに、幅広く様々な主体における議論を喚起していくこと。

・「障害」のそれぞれの表記の普及状況について、定期的に調査を行うなど、その把握に努めること。

・近年、国会においても「障碍」や「障がい」等の表記を挙げて、「障害」の表記の在り方に関する議論が度々なされており、このような動向も注視しつつ検討を進めること。



以上が第2次意見の表記に関する部分ですが、これに関連して特記事項を以下に列記します。

〇 放置すれば推進会議の結論は「障害の表記については問題は存在しない」となったところですが佐藤久夫委員の必死の頑張りで上記のように問題の存在が確定され継続審議となったことは特筆に価すると思います。

〇 佐藤委員のご意見が随所に取り入れられています。例えば結論を得る時期について「制度改革の集中期間内を目途に一定の結論を得る」と明記されています。具体的には障碍者権利条約が批准されるであろう2013年が目安となるでしょう。推進会議の予定は2011年に障害者基本法を片付け、2012年に自立支援法に代る総合福祉法、2013年に差別禁止法の検討を終える予定と聞いています。

〇 議論を進めるに当っての観点に「国際的視点からの検討、特に同じ漢字圏での表記状況」を記述するように希望しましたがこれは除外されました。

〇 常用漢字への追加問題についても「推進会議として追加を要望するかどうかを検討する」との記述に留まり、残念ではありますがとにかく記述されたことを評価したいと思います。「普及の動向を見定める」というのであれば他の表記と同一条件にしなければ公平性を欠きます。国民の要望の多い「碍」の字を1字常用漢字に追加することによって、一体だれが不利益を蒙るのでしょうか。不思議でなりません。文科省は推進会議が要望さえすれば追加すると言っているのに、摩訶不思議です。