tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「障碍」表記の普及状況(5)

 これまで個人の使用状況について書きましたので、次に諸団体による「障碍」表記の使用状況について記します。


 【日本IBM】は「障碍者」「視覚障碍者」など「障碍」表記を公式に採用しています。以下プレスリリースの一部(インターネットは健常者だけでなく障碍者や高齢者などにとっても、情報を容易に入手することができ・・)(・・本日、インターネット上で一般のユーザーと視覚障碍を持ったユーザーが協働して・・)【日本マイクロソフト】も正式に「障碍者」表記採用に踏み切りました。同社の最高技術責任者の加治佐俊一氏の英断によるもので基本ソフト「ウィンドウズ7」から「障碍」表記を採用しているとのこと。このように代表的な外資系企業の障碍者への配慮は見習うべきでしょう。


 日本企業では【コクヨ】グループが「障碍」表記を使用しています。例えば特例子会社のコクヨKハート株式会社の案内には(コクヨグループでは「障がいを持つことは困難なことではあるが害ではない」という基本的な考えに基づき、「障害者」ではなく「障碍者」という表記を用いています。同社は障碍者雇用への取組が評価され、障碍者雇用優良企業として厚労省の認証を取得しています。因みに【日本碍子】は登記名は「日本碍子」ですが「碍」が常用漢字外であり読めない人が多くなったため通称を「日本ガイシ」としテレビコマーシャルでもこれを用いています。但し碍管・碍盤など碍子関連の技術用語はそのまま使用されています。


 メデイア関係では長崎県の【壱岐日々新聞社】が正式に「障碍者」表記を採用し紙面でアナウンスしました。2009年12月3日付の朝日夕刊記事ニッポン人脈記を読んでの反応でした。【京都福祉新聞】も小規模紙ながら終始一貫「障碍」「障碍者」表記の普及に取組中です。発行人の野地芳雄さんは障碍団体【社団法人京都精神保健福祉推進家族会連合会】の会長でもあります。紙面の一面には「碍の使用について」と題して(本新聞では、法律や制度用語を除いて、記事の文中、障害を障碍という表記で統一しています。理由は人権擁護です。)と明記されています。


 前にも書きましたが【東京都馬術連盟】主催の競技では現在も「障碍」表記を使用中のようです。「障碍馬術」「障碍鞍」「障碍飛越競技」などです。ところが社団法人日本馬術連盟の主催となるとウ冠の害が使用され「障害馬術」となるようです。管轄の農林水産省に配慮してのものと思われます。元来「障害物」は馬術に限らず「障碍物」と表記されたものであり「碍」が常用漢字に加われば日本馬術連盟も、地方の馬術連盟も、そして日本中央競馬会さえも即座に「障碍」表記に移行し統一されるであろうことは容易に想像できます。


 障碍団体では【全国青い芝の会】が「障碍」表記を支持しています。脳性麻痺者の団体で「障害」の表記に関する作業チームが実施したヒアリング団体の一つです。「害」は「公害」、「害悪」、「害虫」の「害」であり、当事者の存在を害であるとする社会の価値観を助長してきたとして「障害」表記を否定しています。NPOの【OLC】(Organic Life Collaboration)も「障碍」表記を使用中です。代表理事の福本裕子女史は心理カウンセラーで兵庫県下で農作業を通じて障碍者の就労支援に取組んでおられます。


 社会福祉法人では【緑の風】が「障碍」表記の普及に熱心です。法人理念の一項に(障碍があっても、地域社会に参加・貢献し、地域でその人たるに相応しい暮らしができるように支援する)とあります。友人の木村剛兄より理事長・武田和久氏の紹介を受けました。武田理事長は武長のご一族で武田薬品の役員を経て現在は「緑の風」の運営に専念しておられます。事業所が八ヶ岳(長坂福祉農園)と千代田区役所内(ジョブサポートプラザ)にあり往復に大童です。福祉農園事業のほかグループホーム・ケアホーム・知的障碍者就労支援事業など日本でも有数の規模です。


 私が理事を務める社会福祉法人【芦屋メンタルサポートセンター】(略称AMSC)は、精神疾患に関する正しい知識の普及を目指しており、アンテイステイグマ運動の一環として「精神障害者」の代替表記の必要性を訴えています。代替表記として「心的障碍者」を推薦しており、そのための「障碍」表記の実現、その第一歩として「碍」の字の常用漢字への1字追加に全力投球しています。石の上にも三年と言われますが問題を提起し始動して既に10年を超えました。


 この間、文科省常用漢字改訂に関するパブリックコメントへの応募や、内閣府が実施した「しょうがい」の表記に関する国民意見の募集への対応、障がい者制度改革推進会議が実施した表記問題ヒアリングへの出席、あるいは地域精神保健福祉機構(COMBO)主催で東京の都市センターホテルで開催された表記問題シンポジウムでパネラーとして主張する機会を得るなどの努力を積み重ねて今日に至っております。


 AMSCの理事長寺内嘉一は精神科の医師(医学博士)ですが上記の普及啓発活動の陣頭に立っています。AMSCでは「しょうがい」の表記に関して内閣府が実施した国民意見の募集結果などを含む資料集などを配布中です。ご依頼があれば無償にて送付いたします。(照会先:社会福祉法人芦屋メンタルサポートセンター〒659-0051芦屋市呉川町14-9芦屋市保健福祉センター4F 電話0797-32-0458 FAX0797-32-0448)