tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「碍」と産経新聞「正論」記事

 産経新聞「正論」欄のレギュラー執筆者である加藤秀俊先生が2009年6月29日付同紙に(地方版「漢字審議会」のすすめ)と題する一文を投稿しておられることは先に紹介しました。その掲載前元原稿を入手しましたので「障碍」表記に関する部分のみ以下に転載します。


加藤秀俊 著作データベースよりの抜粋》

地方版「漢字審議会のすすめ
発行年月:20090626
発行元:産経新聞

地方版「漢字審議会」のすすめ(掲載前元原稿)


・・・中略・・・・社会福祉のボランテイア活動をなさっているかたから、からだの不自由なひとびとを「障碍者」と表記したいのだが、どうしても市役所が「障害者」という文字しか受け付けてくれない、というおはなしをうかがったことがある。「碍」と「害」ではまったく漢字の意味がちがう。なぜ「碍」を「害」にしたのか、といえば「碍」が常用漢字にはいっていないからだ。音読みがおなじ「ショウガイ」だから、というので宛て字にしたのだろう。それはあたかも「読書」を「毒書」と書くようなもので、ともに「ドクショ」と発音するが「読」と「毒」では漢字の意味がまったくちがう。


 その「障碍」という漢字を厚生労働省が採用しなかったのは「碍」が常用漢字になかった、というだけの単純な理由による。なにかといえば省庁どうし知らん顔のクセに厚労省が漢字について文化庁に気兼ねするとは、まあなんと姑息で臆病な。そんなこと気にしないでいいのです。「有害」「害虫」「害毒」など、わるい意味しかない漢字を身体の不自由なひとの形容につかうのは失礼千万。やっぱりここは「さまたげ」という意味の「碍」を使ったほうがいい。体操の「障碍物競争」を「障害物競争」に書き換えるなどというのも正気の沙汰ではない。跳び箱や平均台にはなにか「害」があるんですか?


 その厚労省に忠実だから市役所も「障碍」という文字を受けつけない。それじゃ「障がい」と「まぜ書き」にしましょう、などと奇妙な妥協案をだす。しかし、もしもその自治体の漢字審議会がわが県、わが市では「碍」を常用漢字にいれましょう、と決定すればこんな問題はすぐに解決する。担当者も市民も安心する。国語を自治体が勝手にいじくりまわすとは怪しからん、などとおっしゃるな。全国あちこちを旅してみると、都道府県、あるいは市町村が指定した有形、無形のみごとな文化財にめぐりあうことがしばしばである。あれと理屈はおなじ。伝統文化を守り、あらたな文化を創造するのは国だけのしごとではない。いや国以上に地方こそが文化についておおきな役割をになっているのである。言語だって例外ではない。国がタヨリにならなければ自治体が自主的に改革したらそれでよろしい。道路、河川などとちがって言語行政にはあんまりおカネもかかるまい。自治体首長のどなたか、第一号として名乗りをあげてくださいませんか?(以上)


 因みに加藤秀俊先生は国語審議会の委員を務められた時期もおありだったようです。