「障害者」は「障碍者」・・・参考資料ー1
《参考資料―1》
2009年7月16日 健康福祉常任委員会
質問者:日村豊彦委員
障害者の漢字の表記について、「害」という字は非常に悪いイメージで使われていることから、「碍」という字を当てるべきではないかという意見もある。社会福祉施設の中には、「障がい者」と害を平仮名で表記しているところもあるようだが、当局の考え方を伺いたい。
答弁者:障害福祉局長(山本嘉彦)
他府県では、「害」という字があまりにもネガテイブなイメージがあるため、「障がい福祉局」と「害」を平仮名で表記するところもある。しかし、障害者団体の方から障害者が生きにくいということは社会の中にまだ障害があるということであり、「害」という字を平仮名に変えたからといって障害が社会から消えたわけではなく、「害」を平仮名に変えてそれで足りるとするのは不愉快であるとの意見を聞いたことがある。なお、「害」という字はネガテイブなイメージがあるので、常用漢字の2年後の改正で「碍」という字、これは天からチャンスを与えられたということを意味しているようであるが、この字を加えてはどうかという議論が始まっているようである。本県としては当分の間、「害」という字を使用し、今後も常用漢字の中での運用を行っていきたい。
質問者:日村豊彦委員
欧米では、障害者のことを「ハンデイキャップド」と表現するよりも「チャレンジド」と表現することが主流になっていると聞く。「碍」が常用漢字
となれば、この字を使用すべきであり、この問題に関してはもっとナイーブになった方がよいのではないかと考える。
2. 2009年12月10日 12月第303回定例会
質問者:越智一雄議員
・・・2点目は、「障害」という表記についてお伺いをいたします。
先月、健康福祉常任委員会の管外視察で大分県庁を訪問し、障害者雇用の現状等について調査を行いましたが、その際、大分県の作成しました資料に目を通しますと、法律や特定の固有名詞を除き、すべて「障害者」の害の字を平仮名で表記をしておられました。
この平仮名表記につきまして、当局に質問したところ、大分県では4年前から全庁的に取り組んでいるとのことで、先ほどの質問で取り上げた県の障害福祉計画についても「害」の字は平仮名が使われています。一方、本県に目を向けますと、健康福祉部はもとより、各部局において、「害」の字は漢字で表記をしており、学校教育法の改正に伴い、特別支援教育に制度改正がなされた教育の分野においても、「障害児」の表記には同様の漢字が使われているのが現状であります。
一般的には、「害」の字は、「災害、被害、損害」などマイナスイメージを有していることから、大分県のように平仮名で表記する自治体等がある一方、戦後の当用漢字策定以前には、例えば「碍子」、「融通無碍」の、この「碍」という字が使われていましたが、この字が当用漢字表、そして現在の常用漢字表にも掲載されなかったことで、法令等での使用が制限されてしまっているという経緯がありますが、中立的なイメージを有するこの「碍」の字を、現在改訂作業中の常用漢字表に追加して書きかえるべきだという意見もあります。
私は、西宮市議会議員をしていたときに、当時のある新聞記事を引用して、市議会でこの「障害」という漢字表記の考え方について質問をした経験があります。その社説は、「言葉を変えたところで、人々の意識や社会が変わらなければ実態は変わらないという考え方もある。そのとおりだと思うが、現実には言葉が変わることで人の意識が変わっていくこともある。みんなでより適切で温かい言葉を作り出したい」とその社説は結んでいました。
現在の表記を使い続けることが誤解や偏見を助長する要因にならないと
も限りません。また、用語というのは社会の文化の反映であり、社会の文化を変えることによって、より用語も変わってくるものと言われています。
「障害」の「害」の表記を変えることについては、さまざまな意見や難しい問題があると思いますし、私自身も言葉遊びをする気持ちは毛頭ありませんが、平仮名表記に改めている自治体の事例を踏まえ、兵庫県では現在の漢字表記について、どのような認識を持っておられるのか、また、今後、何らかの見直しについて検討を行う考えはあるのかどうか、当局の所見をお伺いをいたします。
答弁者:健康福祉部長(久保修一)
私からは、障害者施策の推進のうち、「障害」という表記についてご答弁を申し上げます。
障害のある人の生活のしづらさは、障害のある人への適切な支援だけでなく、その人を取り巻く周囲の環境や人々の対応を変えることにより大きく緩和されるものと考えています。障害のある人が自分らしく生き生きと生活していくためには、さまざまな障害が残されており、「障害」の「害」の字を平仮名表記しても、障害者を取り巻く状況が変化するものとは考えられず、むしろ障害者を取り巻く社会的障害を除去し、負担を軽減するための施策の展開が大切であるとの意見が当事者団体の中にもあります。
また、現在、常用漢字にはない「碍子」の「碍」の字には、「妨げ」という意味が含まれておりまして、障害のある人が社会で生きていく中で、さまざまな妨げを受けているという意味を持たせる意義があることから、常用漢字に加えられた際には、選択肢の一つとなるものと考えています。
いずれにいたしましても、だれもが生活しやすいユニバーサル社会の構築を目指し、障害のある人が、みずからの能力を最大限発揮し、自己実現できるよう、保健、医療、福祉。住まい、就労、社会参加など、幅広い分野での積極的な取り組みが肝要と考えております。こうした取り組みを進める中で、表記の見直しにつきましても、当事者団体も含めまして、幅広く情報収集に努めてまいります。
3.2012年11月19日 健康福祉常任委員会
質問者:大野ゆきお委員
・・・次に、障害者の害という字を使うことに対して、団体からは障害があることは害なのかと抵抗があり、ひらがなを用いた障がい者という表記に変わってきていると思う。法律については、漢字表記のままなので、変えようがないと思うが、それ以外については検討していないのか。
答弁者:障害福祉課長(大西徹)
障害の害をどう表記するかについては、国でも議論されており、当面は現状の漢字を使うとされている。平成21年(2009年)12月から5年間の制度改革の期間中に、一定の結論を得るという見解である。平成22年(2010年)9月に内閣府が国民の意見を募集したところ、現行の障害への支持が約40%、障碍が40%、障がいが10%であった。私どもも県内の障害者団体の方に意見を聞いたことがあるが、意見の多くは字をどうするかよりも施策の充実を優先されたいという意見が多かった。県内には身体障害者福祉協会や視覚障害者福祉協会という団体もあるが、従来の障害という漢字を使っている。県としても国の動向や当事者の意見を踏まえつつ検討したいと考えるが、当面は現状のままと考えている。
質問者:大野ゆきお委員
今の結果を聞いてひらがなが意外に少ないと感じた。団体もそこまで言っていないということだが、我が党(公明党)の新聞は全て障がいとしている。デリケートな問題だと思うが、そのようなことに配慮することも大事だと思うので、団体の意見もよく聞いた上で、引き続き十分検討するよう要望する。
質問者:加茂忍委員
大野委員の発言に関連して、私はひらがなを使うことには違和感がある。障害というのは、その人は生きていく上でいろいろなところに障害があるという意味であって、誰かの障害になる人という意味では決してない。逆にひらがなを使うことで誤解を招くという意見である。
答弁者:障害福祉課長(大西徹)
確かにそのような意見もあり、社会で生きていく上で、いろんな障壁、障害があるという意味で、あえて今の漢字を使うという方もいる。皆さんのご意見を踏まえて考えていきたい。
以上
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冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。
こちらは自由に複製していただいて結構です。
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