tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。(複製・配布歓迎します) https://bit.ly/2OIP0nX

「障害者」は「障碍者」・・・参考資料ー2

《参考資料―2

         「障碍」「障碍者」表記関連年表

 

〇○552年 欽明天皇13年 仏教伝来(別説538年)経典経由で「礙」「碍」 の 字が渡来した。「碍」は「礙」の略字で意味は同じ。

₋   ――6世紀~18世紀の間1200年間は「障礙」「障碍」の熟語としての使用例多数あり、主として「さわり」「バリアー」の意で使用された――

・・・・・幕末・・・・・

〇 幕末に至り、日本でのみ「障」と「害」を組み合わせた「障害」が出現し

  た。他の漢字文化圏には「障害」なる表記は存在せず和製漢語とみられる。

18101863 緒方洪庵 洋書の和訳には全て「障碍」を使用し「障害」は使用してい

 ない。

1853 ペリー来航

1862 文久2年 英和対訳袖珍(シュウチン)辞書 (幕府の命で堀達之助が編纂)手書き Annoy→障害 Rub→障碍

(障)と(害)を組み合わせた熟語「障害」が出現 

 1868 明治元年(慶応4年)神仏分離令廃仏毀釈運動

1871 布令字弁(官許の布令用語辞書)には(障害)のみが記載され、

(障礙)も(障碍)も不掲載。廃仏毀釈政策を意識した意図的な不掲載か?

1871 渋沢栄一著≪立会略則≫「或は公権を●り或は法制を●り、互に相

障礙して終に共に樹立する能はず」

18951945 日本による台湾統治50年を経ても「障害」表記は現地で定着せず「障礙」「障碍」のみ通用

19101945 日本による韓国併合36年を経て、現地では「障害」表記は定着せず「障礙」「障碍」のみ通用

 1909 小説「金貨」 森鴎外 「此の別当が自分と軍人との間に成り立ってゐる或る関係に障碍を加へるものであるやうに感じた」

 1932 救護法には「精神的又は身体的障碍のある者」との記述があり、人に対しては「障害」ではなく「障碍」が正しく使用されていた。

1945 ポッダム宣言のall obstacles は「一切の障礙」と邦訳されている

 

       --------------1945 終戦----------------

 

19461116 当用漢字表を内閣が告示 1850字 「碍」も「礙」も含まれず

 19491226 身体障害者福祉法成立 戦前は「身体障害者」という言葉は無く、また「害」が人に対して初めて使用された例である。従い二重に初使用例である。幕末に「障礙」「障碍」「障害」が併用されるようになってからも「害」が人に対して使用された例は皆無であった。

195675 文部省(当時)は同音の漢字による書き換え(障碍を障害へ)を指導、国語審議会報告として広く国民への周知を図った。

 195964 石橋湛山元総理より周恩来首相宛の書簡に「国境の障碍を除去し」との記述あり、中国には「障害」の言葉が無いので「障碍」を使用している。

1972 筆者が伊藤忠商事ソウル支店に勤務時、大韓石油公社の文需給部長より日本での「障害」「障害者」表記はおかしい。「障害者」と表記された「障碍者」は怒るのではないか。「障害」がバリアーの意であれば本来の漢字は「障碍」か「障礙」であるべきとの指摘を受けた。

    現在も日本以外の漢字使用国には「障害」という熟語は存在しない。

1981101 常用漢字表を告示 1945字 (当用漢字の後継として35年ぶりの実質改訂)当用漢字は漢字使用の制限が目的であったが常用漢字は漢字使用上の目安に変わった。

2000 東京都多摩市は「障害者」は差別表記だとして自治体としては初めて平仮名交ぜ書き「障がい」「障がい者」表記を採用(第一候補の「障碍」は「碍」が常用漢字表の表外字のため見送られ当面の処置として交ぜ書きを採用した経緯がある) 

 2001 丸山一郎教授が「障礙から五十五年まだ残る「害」の小論文を発表

 200787 川内博史衆院議員(民主)が安倍総理宛に質問主意書を提出

    障碍表記の正当性を主張 回答は「常用漢字への追加が先」

2007928 高村外相が障害者権利条約に署名

2009316 文化庁文化審議会国語分科会漢字小委員会が改訂常用漢字

        表試案への国民意見募集(第一次)を開始、〆切416日。

 〇20093 AMSC理事長名で第1パブコメに応募、「碍」の追加を要望

    第1次パブコメの結果「碍」は追加希望字種の実質1位となる。

2009629 産経「正論」欄で加藤秀俊先生が「障碍」表記の正当性を主

        張

 2009916 《鳩山内閣誕生》

 20091023 第37回漢字小委員会で内田伸子委員(お茶の水女子大名誉教授)

         が「碍」の追加に賛成発言

20091125 文化庁が改訂常用漢字表試案への意見(第二次最終パブリックコメント)募集開始 〆切1224日 

     第二次の結果も「碍」は追加希望字種の実質1

 2009123 朝日新聞「人・脈・記」に(「障碍」の文字社会変える)の記事 全国配布夕刊一面 

2009128 内閣府障がい者制度改革推進本部を設置、併せて同推進会議での法令等の「障害」の公式表記の検討を閣議決定

20091211 壱岐日々新聞が「障碍者」表記を採用

2010119 第38回漢字小委員会で内田委員が再び「碍」の追加賛成発言

    出久根委員(直木賞作家)も追加に前向きの発言

20102 東京の都市センターで精神障害者の呼称と表記を考える討論会が開催。主催は地域精神保健福祉機構(略称コンボ 大島巌理事長・日本社会事業大学長)パネラー 豊田徳治郎(芦屋家族会会長)當山日出夫(国語学者)他。

2010225 古川康佐賀県知事は「障害」表記を「障碍」に見直すよう福島瑞穂担当大臣に要望、障がい者制度改革推進会議にも顔を出して「障碍」表記の正当性を詳しく説明した。

 201041 これまでに平仮名交ぜ書き表記を採用した自治

    道府県 10  政令指定市 5  その他自治体  多数  

2010413 第41回漢字小委員会で「碍」の追加の可否を最終協議。

    内田委員は氏原主任国語調査官の説得に応じる。出久根委員は態度

保留

 2010421 国会(衆院文科委)で馳浩衆院議員(自民)が「障碍」「障碍者」表記の正当性を強く主張し「碍」の常用漢字への追加を要請

 201067 文化審議会は川端文科相に対し「改訂常用漢字表」を答申、その中で、「碍(障碍)は、政府の「障がい者制度改革推進本部」において、「障害」の表記の在り方に関する検討が行われているところであり、その検討結果によっては、改めて検討する」こととされた。

201068 《菅内閣誕生》

201098 松崎哲久委員(民主)が衆院文科委で馳委員の主張に賛同し

    碍の常用漢字への追加を要望

201091030 内閣府による国民意見の募集を実施 

平成22910日から30日までの21日間、内閣府、共生社会、障害者施策の各ホームページにおいて、意見募集を実施したところ、637件の意見が寄せられた。その内訳は、「障害」を支持する意見が約4割、「障碍」を支持する意見が約4割、「障がい」又は「しょうがい」を支持する意見が約1割、その他、独自の表記を提案する意見等が約1割であった。

*国民意見637件の詳細は佐藤久夫委員(日本社会事業大学特任教授)等による分析結果のリスト《「障害」の表記に関する意見の内容と理由~2010内閣府の意見募集結果から~》を参照。

 2010927 内閣府ヒアリングでAMSC(芦屋メンタルサポートセンター)

    の豊田徳治郎副理事長が意見を陳述、国際的視点からの検討の必要性

    を強調。

2010 内閣府ヒアリングで「東京青い芝の会」(脳性麻痺者の障碍者団体)は「障碍」表記に賛成意見を述べている。1957年に東京で生まれた「青い芝の会」は発足以来「障碍」表記を提唱し今日に至っている。 

20101122《「障害」の表記に関する検討結果について》と題した報告書が作業チームより提出された。資料2を参照

 20101130 内閣は改訂常用漢字表を告示 1945字→2136字 191字増

(碍を含まず)

20101217 障害者制度改革の推進のための第二次意見(最終)

    【表記問題の結論】「障害」の表記については、さまざまな主体がそれぞれの考えに基づき、様々な表記を用いており、法令等における「障害」の表記について、見解の一致をみなかった現時点において新たに特定の表記に決定することは困難と断ぜざるを得ない。・・中略・・

     これらを踏まえ、法令等における「障害」の表記については、当面、現状の「障害」を用いることとし、今後、制度改革の期間内を目途に一定の結論を得ることを目指すべきである。

201192 《野田内閣誕生》

2012312 第38障がい者制度改革推進会議(最終回)を開催

    今後本会議は改正障害者基本法に定める「障害者政策委員会」に移行する。

20125 赤松正雄衆院議員より「碍」の追加に関連して質問主意書を提出

2012723 (第一期)第1回障害者政策委員会(野田首相出席)

      第5回(1217日)まで民主党政権下で開催

20121226 【安倍内閣誕生】

 2013722 第6回障害者政策委員会(安倍内閣での初回)

2013722 東京オリンピックパラリンピック開催決定

2013124 障害者権利条約批准 2014120 国連が承認

 201461 社会保障審議会障害者部会の本條義和委員が全国精神保健福祉会連合

        理事長に就任

 

障害者数(出典:2016年度障害者白書)     

身体障害者     393万人

知的障害者      74万人

精神障害者     392万人  計 859万人

2015107  馳浩衆院議員が文科相に就任(201683日退任)

 20164    障害者差別解消法施行

2016726  相模原障害者殺傷事件勃発

安倍首相は事件への即時対策実施を指示

 2016829  加藤勝信担当相はやまゆり園を見舞い、記者団に「国民の障害者への関心・理解を深めるべく啓発活動を具体的に進める」と発言

 2017810  現時点では以下の道府県及び政令指定市が平仮名交ぜ書き表記を採用している。(固有名詞は除く)

         採用道府県:北海道・岩手県山形県福島県・長野県

               三重県岐阜県大阪府鳥取県島根県

               徳島県愛媛県・福岡県・熊本県大分県

               宮崎県 以上16道府県 

(但し、岐阜県大分県は組織名を除く)

         採用政令指定都市:札幌市・新潟市静岡市浜松市

大阪市・福岡市・熊本市 以上7政令指定都市(但し、静岡市浜松市は組織名を除く)

2017811  2010年当時の「碍」の字に対する基本認識

 文科省:「障碍(礙)」は「しょうげ」と読まれ仏教語から転じて平安末期以降「悪魔、怨霊が邪魔をする」の意で多用されたものであり、「害」の字より良いとは言えない。「碍」は使用頻度も低く造語力も弱いので常用漢字への追加基準を満たさない。「障害」は使用頻度大で変更となると大変。(費用?)以上障がい者制度改革推進会議委員への冒頭説明の中で)

 有識者》佐藤久夫委員(日本社会事業大学特任教授)の主張

「障害者」は明白な誤表記であり、「障碍者」に正常化すべきである。より適切な言葉を使うことにより、より適切な理解がひろがりやすくなる。

日常生活や社会生活上の支障・困難の原因が本人にあると思わせる「障害」の表記は、あきらかに障碍者権利条約やICFの障碍概念(環境と機能障碍の相互作用による参加困難)とは異なる時代遅れのものであり、変更すべきである。

  • 《精神障碍関連法人》NPO法人芦屋メンタルサポートセンター

「障害」表記に反対  「害」には語源的にも人を殺めるという意味があ 

              り不適切。

   「障碍」表記に賛成  障碍の表記は古来「障碍」「障碍物」「碍子」「融通無碍」など物や事象を対象に使用されてきた経緯があり、人を対象とした「障碍者」という概念が確立されたのは戦後である。昭和21年に制定された「当用漢字」から「碍」が外れ、同音ではあるものの意味が異なる「害」の字が充てられ、その後、昭和31年の「同音の漢字による書きかえ」(国語審議会報告)では、「障碍」を「障害」に書きかえることが妥当であるとされた。これ以降、「碍」の字が国民の目の前からほとんど消えてしまった。

 また、中国、韓国、台湾など漢字圏において、「しょうがい」は「障碍」又は「障礙」と表記されている。一例として「障碍人の権利に関する条約」(韓国)。」東アジアの漢字圏において、日本が障碍者福祉の面でリーダーシップを発揮する場合に備えて、表記を「障碍」に改めておくべきではないか。

「障害」の表記は「医学モデル」であるのに対し、「障碍」の表記は「社会モデル」そのものではないか。 

 《障害団体》東京青い芝の会(脳性麻痺者)

「障害」表記に反対  「害」は「公害」「害悪」「害虫」の「害」であり、

当事者の存在を「害」であるとする社会の価値観  を助長してきた。

   「障碍」表記に賛成  「碍」は電流を遮断する「碍子」などで用いられているように、「カベ」を意味する言葉である。社会が「カベ」を形成していること、当事者自らの中にも「カベ」に立ち向かうべき意識改革の課題があるとの観点を踏まえ、「碍」の字を使うよう提唱してきた。

   「障がい」表記に反対 社会が「カベ」を形成していること、当事者自らの中にも「カベ」に立ち向かう意識改革の課題があるとの観点を踏まえ、「碍」の字を使うよう提唱してきたが、表意文字である漢字を、ひらがなに置き換えてしまうと、「社会がカベを作っている」、カベに立ち向かう」という意味合いが出ない。

 《障害団体》門川紳一郎委員(全国盲ろう者協会評議員)の意見

「害」の字にマイナスイメージがあるということだが、同様の観点からすれば、「障」という字にも、「さしつかえる」「はばむ」「じゃま」といったような意味がある。すなわち、マイナスイメージを与えるから「障害」の表記を見なおすというのであれば、「障害」という言葉(表記)はいずれにしても使えないということになり、平仮名で「しょうがい」と表記することになってしまう。しかし、そのことにどれだけの意味があると言えるのか。疑問である。

  • 《メデイア》朝日新聞(マスメデイア)のコメント

「碍」については、使用頻度が低い上に、造語力も低いことから、一般国民が情報社会においてどのような漢字を使うべきかの目安となる常用漢字に入れる必要はないと思う。ただし、障がい者制度改革推進本部の検討結果によっては、改めて検討するという漢字小委員会の結論に異存はない。国民が十分「碍」の字義を理解したうえで納得して使用するなら問題はないと考えるが、「障害」を「障碍」と表記しても根本的な解決にはならない。いずれ更なる人権意識の変化によって、「障碍」という字を用いることは不適切であるという議論が起こりうる。ただし、漢字の字義に即して議論するということも必要だが、それとは別の感覚的、感情的なものも含めた上での考慮もしなければ、表記の議論は成り立たないのではないか。 

 

〇 2018117 豊田は上京し、佐藤久夫先生にもお声を掛けてご一緒に国会の川内博史代議士事務所を表敬、従来の「障害」「障害者」表記は誤表記であるとして「障碍」「障碍者」への表記の正常化を訴え快諾を得た。

〇 2018530 川内博史衆院議員の主導により、文部科学委員会は5月30日、「障害」の表記、特に「害」の見直しを、「碍」の字の常用漢字への追加も含めて政府に再検討を要望する議題《スポーツへの障害者の参加の更なる促進のため「障害」の「害」の表記について検討を求むるの件》を超党派・全会一致で決議した。

〇 2018612 衆議院本会議での決議を経て、参議院文教科学委員会で、

ほぼ同様の内容で《スポーツ基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議》として議決され、参議院本会議での承認を経て、本件は国会の総意、国民の総意となった。

〇 201871  衆参両院での議決を承けて文科省7月1日開催の文化審議会国語分科会国語課題小委員会(以後「国語課題小委員会」)で本件を話題とし、次回7月20日に開催予定の同委員会で今後の審議予定を決することになった。

〇 2018720 国語課題小委員会が開催され以下の3点が決まった。

  • 本件は国会の決議事項であり重く受け止める必要がある。
  • 追加の可否の議論の前に小委員会として何ができるかを議論しましょう。
  • そのために「主査打ち合わせ会」を設置し話し合う。

〇 2018年11月22日第68回文化審議会国語分科会資料7「障害」の表記に関する

  これまでの考え方(国語分科会確認事項)の中で、《自治体や民間組織が「碍」

  を使うことを妨げるものではない》として自治体による「障碍」表記の使用の

  容認を確認した。

〇 2018年12月18日、これを承けて、宝塚家族会(原保子会長)は宝塚市中川智子

  市長あてに「障害」表記の「障碍」への正常化のお願い書を提出。

〇 NHK発行の「放送研究と調査」の2019年1月号にNHK放送文化研究所主任研究員の

  塩田雄大氏が以下の記事を記載。塩田氏は文化審議会国語分科会国語課題小委員会

  の委員。

  (平成30年10月19日に東京で開催された第1428回放送用語委員会で)放送での

  「障害」の表記に関する現行の規定と運用(①原則として「障害」だが、一般に

  漢字表記のものをひらがなで書くことに関しての制限はないため、必要に応じて

  「障がい」という表記を使用することは可能②現行の常用漢字表に無い漢字「碍」

  を用いた「障碍」は、原則とし使わない)を、席上で確認した。

  《以上は、「碍」の字が従前より実質「放送禁止用語」並の扱いを受けていたこと

   を示している》

  なお、現在は「放送禁止用語」という言葉は使用されていない。

 

 

 

 

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冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。

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