tokujirouの日記

古来バリアーは「障碍」と表記されました。江戸末期に「障害」が造語されましたが終戦まで人に対して「害」がつかわれることはありませんでした。「障害者」は誤表記です。「碍」の字を常用漢字に加えて「障碍者」に正常化を急ぎましょう。漢字文化圏では「障碍」が常識です。

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「碍」と参議院文教科学委員会決議

 本案件は6月初旬の衆院本会議で承認されたあと、参院にまわり、文教科学委員会で審議され6月12日にスポーツ基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議として衆院決議と同趣旨の決議がなされました。

 なお、本件は翌6月13日の参院本会議で承認され、晴れて衆参両院=「国会」の総意ということになりました。ということは「国民」の総意ということでもあります。

 決議文は衆参両院共に同趣旨と書きましたが一点だけ相違点があります。

「碍」の常用漢字への追加の検討を求めるという最後の3行ですが、衆院では

《政府は、・・・・・・「障害」の「害」の表記について、障害者の選択に資する観点から、「碍」の字の常用漢字への追加の可否を含め、所要の検討を行うべきである。右決議する。》とされていますが、一方、参院では

《以上を踏まえ、政府は、・・・・・・・・「障害」の「害」の表記について、障害者の意向を踏まえて、「碍」の字の常用漢字表への追加の可否を含め、所要の検討を行うべきである。 右決議する。》となっています。

衆院ではあった「障害者の選択に資する観点から」という文言が参院では削除され、代わりに「障害者の意向を踏まえて」が挿入されています。

 これは、「障害者の選択に資する観点から」という部分が国語政策の基本原則の一つとされる「一概念一表記」に抵触する怖れがあるため修正されたものと推察されます。

 

以下は参議院文教科学委員会での決議の全文です。

 

スポーツ基本法の一部を改正する法律案に対する附帯決議》

                   平成三十年六月十二日

                    参議院文教科学委員会

 

 平成三十年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会を好機とし、スポーツを通じた共生社会の実現を図る観点からは、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を推進することが期待されている。

 このような中、我が国の法令において、「障害者」の表記に、「害」の字が用いられていることが問題との指摘もある。

 戦前においては、「碍」の字が用いられる場合もあったものの、戦後、当時の使用実態に基づき当用漢字表等において「害」の字のみが採用されたことを踏まえ、政府は、法令における「障碍」の語を「障害」に改めてきた。その後、当用漢字表の後継として、常用漢字表が定められたが、「害」の字のみが採用され、状況に変化はなかった。平成二十一年以降、政府においては、障害者制度改革の審議を開始し、「障害」の表記の在り方についても審議がなされた。しかし、様々な表記がある中、特定の表記に決定することは困難であり、国民、特に当事者である障害者の意向を踏まえ、今後において検討することとされたところである。

 「害」の字を、人に対して用いることが不適切であるという考え方もあり、中国、韓国、台湾等東アジアの漢字圏においては、「害」の字は用いられておらず、我が国が障害者政策の面でリーダーシップを発揮するに当たっても、早急な検討が必要である。

 本法においても、「財団法人日本障害者スポーツ協会」の表記について、実態に合わせ、「公益財団法人日本障がい者スポーツ協会」に改めることとしている。この点について、同協会が交ぜ書きを採用した理由としては、活字の「害」を不快におもうひとへの配慮と社会意識変革の誘因となることへの期待が挙げられている。

 以上を踏まえ、政府は、「心のバリアフリー」を推進し、スポーツへの障害者の参加の更なる促進を通じた共生社会の実現を図るため、「障害」の「害」の表記について、障害者の意向を踏まえて、「碍」の字の常用漢字表への追加の可否を含め、所要の検討を行うべきである。

 右決議する。

 

 

 

 

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冊子『碍の字を常用漢字に』をPDFにて配布いたします。

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